異質で異様、そして不可解な大阪ダブル選。問われる有権者の冷静な眼

民主主義を踏みにじる維新の非道

「政治は駆け引き。クロス選という手法も許される」などと擁護をする一部の評論家がいる。だが、「法律に書いてないことはやってもいい」と考える政治家など、どこまでいっても遵法精神など持ち合わせず、いつまでたっても民主主義を守らない。そのとばっちりは、いずれ国民が受けるだけだ。  知事選と市長選で、しきりに都構想の推進を全面的にアピールする松井氏と吉村氏。ここでも不思議なことに「大阪市はなくならない。なくなるのは市役所と市議会だけ。街並みや地域コミュニティーは変わらない」といった奇妙キテレツなナゾ理論を有権者の前で披露している。都構想の法的根拠である大都市法の第一条には、法の目的として「この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し(以下、略)」と明記されているのに、だ。  異質で異様、そして不可解な大阪ダブル選。果たして、どれだけの有権者がそれに気づくのか。問われているのは都構想の是非だけではない。有権者の冷静な眼も同時に問われた選挙である。 <取材・文/吉富有治> よしとみゆうじ●ジャーナリスト。1957年12月、愛媛県生まれ。金融専門誌、週刊誌の記者を経てフリーに。大阪を中心に地方自治を取材。著書に『大阪破産』(光文社)、『大阪破産からの再生』(講談社)など。
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