異質で異様、そして不可解な大阪ダブル選。問われる有権者の冷静な眼

大阪府の松井一郎知事(左)と大阪市の吉村洋文市長

ダブル選挙に関して会見する大阪府の松井一郎知事(左)と大阪市の吉村洋文市長=8日、大阪市中央区(写真/時事通信社)

松井府知事と吉村市長の大義なき「公務放り投げ」

 統一地方選挙がスタートした。先陣を切ったのは全国11道府県の知事選で、次に6政令市の市長選が告示された。これらの首長を選ぶ選挙は統一地方選前半の4月7日に投開票される。  知事選と市長選の中でも特に注目されているのが大阪だろう。大阪維新の会の代表で前大阪知事の松井一郎氏(55)と前大阪市長の吉村洋文氏(43)に対して、自民と公明が推薦する前大阪府副知事の小西禎一氏(64)と前大阪市会議員の柳本顕氏(45)がそれぞれ一騎打ち。小西氏と柳本氏は自公のほか立憲民主と共産党が自主支援、連合大阪が推薦するという、<維新vs.オール非維新>の構図になっている。  大阪の知事選と市長選が注目される理由は、維新がオール与野党+連合を相手に孤軍奮闘するからではない。この選挙、他の首長選挙に比べてきわめて異質であり、かつ不可解なことだらけなのだ。  まず、松井氏と吉村氏が、それぞれ任期を8か月以上も残して途中辞任したことが不可解である。両氏は、いわゆる大阪都構想の賛否を問う住民投票の時期をめぐって公明党と大ゲンカ。「公明党にだまされた。死んでも死にきれない」「だったら辞任して再び民意を問う」として、大阪では6月末にG20を控えているというのに公務を途中で放り投げた。放り投げて選挙に打って出たが、それに見合う大義は見当たらない。だから不可解なのだ。  この背景を知るには、まずは大阪市廃止と特別区設置に関する構想、いわゆる「大阪都構想」(以下「都構想」と略)を説明しなければならない。

決着が付いている「都構想」を蒸し返す厚顔無恥

 都構想とは政令市である大阪市を廃止し、代わりに特別区を設置する大都市制度である。わかりやすく言えば、東京23区の二番煎じを大阪府でやろうというものだ。ただし、大阪市を廃止しても特別法の制定か地方自治法の改正がない限り、大阪府は「大阪都」を名乗れない。あくまでも「都構想」とは維新の政治目標であり、実質的には大阪市をマグロの解体ショーのようにバラバラにするものでしかない。  もっとも、都構想の賛否は2015年5月17日に実施された住民投票で決着がついている。僅差ながら反対票が賛成票を上回り、その瞬間に都構想は露と消えたかに見えた。維新の代表だった橋下徹前大阪市長も敗北をきっかけに潔く政界を去った。  だが、往生際が悪いのが維新の会だった。同年11月に投開票された知事選、市長選の大阪ダブル選挙で維新が圧勝したことを理由に、「民意は再び住民投票を望んでいる」と主張。公明党がそれに同調したこともあり、再度の都構想議論が大阪で再開されたのだ。  断っておくが、この住民投票は大都市法という法律に基づいたもので、結果には法的拘束力が及ぶ。しかも、1つの政策をめぐってYESかNOかを二者選択する直接民主制の住民投票と、多様な政策を掲げる政治家を選ぶ間接民主制の選挙は性質も次元も異なる。後者の結果で前者の民意をないがしろにする行為など、ごくごく普通の遵法精神を持つ者なら恥ずかしくてやらないだろう。
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党利党略だけ! 理念なき「選挙の私物化」
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