民泊で人生の再生をはかったシングルマザーの話~金欠フリーライター、民泊をはじめる(10)

住宅イメージ

Image by Harry Strauss via Pixabay

「私が離婚した時、残されたのは家一軒だけでした。元夫が働いていなかったこともあり、慰謝料・養育費は一切とれませんでした」  都内で民泊ホストを続けるイラストレーターのシングルマザー・サユコ(仮名・敬称略)の述懐である。現在小学生と二歳の子供がいる。小学生の子供は前夫の子供で、二歳の子供は現在のパートナーとの子供である。  拙著「貧困脱出マニュアル」で分析したが、日本の貧困はほとんどパターンが同じである。離婚したシングルマザーが元夫から何らかの事情で慰謝料・養育費が取れず、再就職できない。そして貧困の負のループにはまって抜けられない。筆者の実家もそうだったし、筆者がそこから抜け出せたのは稀有な事例である。  唯一サユコに残されていたのは都内の一軒家だった。「地上二階・地下一階、地下は大きな一部屋で、一階が二部屋とトイレ、二階がリビングとお風呂という間取りですね」  家があるだけ恵まれていた、といえばその通りだがサユコに残された道はこの家を活かすことしかなかった。

「元気な人があちらから来る」民泊の利点

「元々イラストレーター仲間が震災後東京から地元に戻り、たまに東京に長期滞在するときにうちに泊まっていたことなどもあり、何となく他人とでも家の中で一緒に暮らせるんだなというのは感じていました。離婚した時に、結局主婦のスキルなんて家事くらいしかないじゃないですか。でも民泊ならそれを活かして清潔で快適な環境さえ提供すればいいのだから、ということですよね」  民泊を始めたのは、「はっきり覚えていないけど、四・五年くらい前だと思います」ということだが、先述の通り元夫は就業していなかったため、慰謝料もなく、元手そのものがなかった。 「落ち込んでいましたし、先々の不安でいっぱいでした。やっぱり、シングルマザーって社会との接点がないじゃないですか。“シングルマザーの会”みたいなのもネットを探せばあるにはありますけど、そこに行くのにも心理的ハードルが大きいですし、仮に行ったとしてもお互い暗い者同士が“寂しい”と言い合ってもあんまり助けにならないというか。その点、民泊なら元々元気な人があちらから来てくれますからね。民泊はシングルマザーに限らず、家に要介護の人がいるとか、孤独な老人とか、そういう人に一番おすすめですね」  サユコは民泊を始めて間もなくやってきたオランダ人の兄妹に強い衝撃を受けたという。

泊まりに来たオランダ人の兄妹に受けた衝撃

「彼らには中国系の血のつながらない兄弟がいました。もうご両親は亡くなったそうなのですが、血とは関係なくこの兄弟が団結して力強く生きてきたんだ…という話を聞かされて、強い衝撃を受けました。 だって、そんな話日本で聞いたことないじゃないですか。ダイバーシティの極致というか。オランダとか、ヨーロッパではそういうことが割と普通にあるんですよね。 それで私が“離婚したばかりで寂しい。これからどうやって生きていけばいのか”みたいなことを話したら、“大丈夫だよ。まだまだ君は若いし、美人だし、チャンスはいくらでもあるよ”って励ましてくれたんです。全然美人じゃないんですけど」
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