「妻を従属させる=夫婦仲が良い」と思っているモラハラ夫の認知の歪み<モラ夫バスターな日々(2)>

【弁護士・大貫憲介のモラ夫バスターな日々(2)】

 離婚が成立すると、離婚弁護士は、依頼者・妻に何と声をかけるかご存じだろうか。 「離婚、おめでとうございます!!」である。 離婚案件には、この表現が一番しっくりくる。依頼者は、頬を紅潮させ、「幸せです!」と答える。 (※便宜上、妻が離婚請求側で、離婚弁護士の依頼者として話を進めている)

「離婚」で世界を変える、依頼者たち

離婚が成立し、離婚届けを出してきた依頼者から、喜びのメールがくることがしばしばある。 「幸せです! 耳鳴りから解放され、身体が軽くなりました。 いままで、夫の顔色を窺って生活していたことが嘘のようです。 突然、怒鳴られたり、壁パンチされる恐怖から解放されました。 お伺いを立てずに、何事も自分で決められるって、夢のようです。 本当に、本当に幸せです。」 「旧姓に戻った戸籍をみて、喜びがこみ上げてきました。先日、初めての給与で、ハーゲンダッツを買いました! 怒られずにアイスクリームを食べられる、ほんっと、幸せです!」  同居していた頃にはくすんでみえた世界が、別居し、離婚成立が近づいてきただけで、きらきらと輝き始めたという。まるで別世界にスリップする方も少なくない(その一方、別居後も何年もモラハラのトラウマに苦しむ方々もいる)。  私は、離婚弁護士として、依頼者が幸せになっていくことに無上の喜びを感じる。同居していた頃の抑圧が凄まじかったことを改めて知る。  そして、私は、依頼者が初めて事務所に来た日を思い出す。依頼者は、おどおどして、表情が暗い。本来の輝きを失い、カラー(色)がくすんだイメージだ。
次のページ
「結婚は我慢」「離婚は不幸」という時代遅れな幻想
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会