離婚が成立すると、離婚弁護士は、依頼者・妻に何と声をかけるかご存じだろうか。
「離婚、おめでとうございます!!」である。
離婚案件には、この表現が一番しっくりくる。依頼者は、頬を紅潮させ、「幸せです!」と答える。
(※便宜上、妻が離婚請求側で、離婚弁護士の依頼者として話を進めている)
離婚が成立し、離婚届けを出してきた依頼者から、喜びのメールがくることがしばしばある。
「幸せです!
耳鳴りから解放され、身体が軽くなりました。
いままで、夫の顔色を窺って生活していたことが嘘のようです。
突然、怒鳴られたり、壁パンチされる恐怖から解放されました。
お伺いを立てずに、何事も自分で決められるって、夢のようです。
本当に、本当に幸せです。」
「旧姓に戻った戸籍をみて、喜びがこみ上げてきました。先日、初めての給与で、ハーゲンダッツを買いました! 怒られずにアイスクリームを食べられる、ほんっと、幸せです!」
同居していた頃にはくすんでみえた世界が、別居し、離婚成立が近づいてきただけで、きらきらと輝き始めたという。まるで別世界にスリップする方も少なくない(その一方、別居後も何年もモラハラのトラウマに苦しむ方々もいる)。
私は、離婚弁護士として、依頼者が幸せになっていくことに無上の喜びを感じる。同居していた頃の抑圧が凄まじかったことを改めて知る。
そして、私は、依頼者が初めて事務所に来た日を思い出す。依頼者は、おどおどして、表情が暗い。本来の輝きを失い、カラー(色)がくすんだイメージだ。