山本太郎氏、日本母親連盟を支持者の面前でぶった斬り!

倫理法人会、日本会議、歴史修正主義……

「で、その(日本母親連盟代表の)阪田さんという方は、倫理法人会の関係の方であると。阪田氏の現在の肩書で気になるのは、『神奈川県倫理法人会・女性副委員長』の経歴であると。倫理法人会は、一般社団法人「法人倫理研究所」が企業経営者向けに展開する自己啓発セミナーのこと。倫理研究所は、あの日本会議の有力構成団体である。これ、歴史修正主義に詳しいジャーナリストの上杉聰さんのお話。倫理研究所の活動から、日本会議の運動に目覚めた中小企業経営者は多く、その最たる事例が、倫理法人会が主催する『朝起き会』で愛国運動に目覚め、日本会議にのめり込んだ籠池泰典夫妻(菅野完氏による調査)」  安倍昭恵氏と並んで写る籠池夫妻の写真が映写される。  続いて山本氏は、日本母親連盟の「マニフェスト」への批判に移った。対象となったのは、「メディカルゴールド免許制度の実施」「近代史教育の強化」「児童相談所のシステム見直し」「生活保護システムの見直しと不正受給の徹底調査」「水と土地を外国に渡さない施策」「憲法改正及び憲法9条問題については議論を深める」。 「メディカルゴールド免許制度」は、健康維持に取り組み病院に1年間通わなかった人の保険料を減額するシステムだ。  「自ら健康な状態を維持することには異論はないが、一方でこれは『保険の自己責任化』の主張にも繋がりかねない。弱者切り捨てのために利用される恐れがある」(山本氏) 「近代史教育の強化」については、日本母親連盟は、歴史の指導要領を改定し、国が一部費用を負担して「近代史の専門家」を学校に外部招聘するとしている。 「『南京大虐殺はなかった』『従軍慰安婦はデマ』といった歴史修正主義的な主張を展開する、日本会議系の保守系諸団体は、近年、そのような主張をする『保守系論壇人』を『近代史の専門家』と名乗らせ、行政内部や学校現場に派遣する活動を活発化させている。政策の『近代史の専門家』がどのような人々を指すのか判然としない」(山本氏)  山本氏は、ウェブメディア「トカナ」に掲載された前出の杉田氏(日本母親連盟顧問)のインタビュー記事を示した。 杉田穂高氏のインタビューを示すスライド 〈連合国側は500年も続いた欧米による支配の歴史を知られたくなかったし、それを覆そうと試みた日本の貢献を封印し、何もかも日本軍が悪かったという洗脳をしたかったのです。(略)日本バッシングはまだまだ続きます。昨今、日韓関係において問題になっている慰安婦問題や南京虐殺をめぐる歴史にも、見直されるべき点が多数ある。(略)自ら真実を主張することを固く禁じられた状態が、70年以上経った今も継続している。これはもう、人々がウソの歴史に徹底的に洗脳されていることにほかなりません〉 「政治的な主張や思想信条等は、いかなるものであっても、個人の自由。たとえ、それが論理的な矛盾、非科学的なものであっても、究極的には『それを信じる』ことは自由ですけどね、はい」(山本氏) 「児童相談所のシステム見直し」は、児童相談所が児童虐待を防止する役割を果たせていないため改革するというのが、日本母親連盟の主張だ。山本氏は、この主張については否定しなかったが、代わりにこんな問題を指摘した。 「この母親連盟の内海さんの著書には、親の体罰を肯定する記述というのもあるんですね。『児童相談所の怖い話』の中には、ケツバットだけで5年間、(子供と)完全隔離というケースがあると。『体罰の是非はどうあれアザが出るほどケツバットすることの是非が問われることはあるかもしれないが、親の非を挙げるとすれば、それだけである』と。十分じゃないですか? ありえないでしょ? ケツバットしてケツにアザができるほどやるというのは。この本では、内海さんと『体罰の会』の会員と、この事例の父親が対談したと。児童相談所に問題があることは確かだけど、その問題と体罰を肯定することとは全く別問題です」(山本氏) 「体罰の会」は、「子供には体罰を受ける権利がある」と主張する団体で、会長は日本会議代表委員・加瀬英明氏。加瀬氏は、日本母親連盟の阪田浩子代表がメンバーとなっている「グローバル政策研究所」の会長でもある。  日本母親連盟の「水と土地を外国に渡さない施策」は、水道民営化に反対するというもの。山本氏はこれについて「全く異論なし!」と言い切ったが、その後にこんな話が続く。

オカルトやスピリチュアリズムのひとつだと明確な指摘

「けれどもですね、日本母親連盟の神奈川県支部の集会での神奈川県市部長の水道民営化反対についての発言を聞いてみると、ちょっと首を傾げてしまう部分がありました」(山本氏)  スクリーンに、その発言内容が映し出される。 〈今日、私はお水を持っているんですけど、これは『マザー・ウォーター』と呼ばれています。どんなお水かと言うと、多分、7、8年くらい前に南極に世界の長老たちが集められたことがありました。『グレート・シャーマン』と言われるような人たちですね。彼らが南極に集められて、地球のために儀式をしたんです。その儀式をしたときに彼らが受け取ったメッセージが、『地球の水の波動をもとに戻しなさい、波動を原初のものに戻しなさい』ということだったそうで、地球の波動を原初のものに戻すために造られたのが、このマザーウォーターなんです。(略)私はこのマザーウォーターと水道民営化ってたいへんつながっているなあって思うんです〉  会場から、クスクス笑い声が起こる。 〈水というのは情報を記憶する媒体でもあるので、水に記憶されている情報自体がダメだから、リセットしなさいという話なんですね。(略)ある日突然、品川区の水質が下がったことがあったんですが、ちょうど湾岸戦争が起こった日だったんですね。人間活動の中で一番ダメなことは戦争なのですが、その戦争という周波数を水が吸い込んで、それが一気に広がったんですよ。なぜなら世界は水でつながっているから! そういうこともあって、水の波動をもとに戻しなさいという長老たちのメッセージを受け取っておるわけですけれども、そんなことまで含めて母連としてはやってきたいな、というふうに今、思っています〉 「じゃあ、湾岸戦争以降に起こった戦争を見てみましょう。アフガン戦争、イラク戦争、レバノン戦争、シリア内戦、リビア内戦、クリミア紛争、グルジア紛争、シエラレオネ紛争、コンゴ内戦、エチオピア紛争、スロベニア内戦、クロアチア内戦、コソボ紛争、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(『防衛ハンドブック』から)……。これもう、品川の水飲んだら死にますよ(笑い)」(山本氏)  さらに、この「水の記憶」という主張は安倍昭恵氏が信じるオカルトやスピリチュアリズムのひとつでもあると山本氏は指摘した。
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善意で接近した人を改憲や愛国運動に動員する「手法」
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