動揺する関係者、会員
一方、そのすぐそばでは関係者同士が、こんな会話を繰り広げていた。
「ぼくヒーラーとかやってるんで、ああ(山本)太郎さん、
そこ斬っちゃったって思いながら聞いてたんですよ」
「非科学な部分でも結果が出るものはいいと思うんですよ」
「選挙に勝つという意味では、太郎さんがバッサリ斬ったのは、リアリストとして素晴らしいなと思った」
「うんうん、でも
早い時期にこういう斬られ方してよかった」
とりあえずポジティブ。
別の一群からは、中年女性同士のこんな会話が聞こえてきた。
「
ショックが……ショックが……」
「え~こんなのショックとか思ってたら変えられない。こんなの鼻くその屁のウンコですから!」
「アハハハハ!」
「笑うんですよ、こんなことぐらい全然大丈夫です」
「そうやって強くなっていくんですよね」
「なので、今日スピ系って言われましたけど、申し訳ないけどスピ系の人の票持ってるんですよ。今、
日本全国、世界的にスピ系の信者ってどれだけいると思ってますか。私スピ系の代表に全部会ってきて票もらいます」
「
スピ系は、できるって洗脳されてるから、言えばやるんです。三次元は動かなきゃ変わらないと、彼ら(スピ系)もわかってるんです。じゃあ、動いてよ。票ちょうだいよ。私、スピ系と倫理法人会どっちもつながってるんで、どっちからも票取ってきます!」
スピ系の人が聞いたら「私たちを何だと思っているんだ」と怒り出しそうだ。
「実は、財閥の会長が、いま私達が考えていることに協力してくれるという人を知っている人と一緒にやってるんですよ。財閥ですよ。何個しかないからわかってますよね。その会長が日本を変えたいんだと。頭がいいんで、わかるんですよ。だから私はもう
財閥の力でやりますよ。お金ですよ。あと力ですよ」
ついさっき阪田代表が壇上で「
今までのような金権利権を超えなければならない」と言っていたのに、立ち話をしているメンバーは財閥だのカネだの力だのと……。
「こんなこと気にしてて!
特攻隊で亡くなっていった子どもたちのこと考えてください!」
もはや何を言っているのかさっぱりわからない。
山本太郎氏は「信じるのは自由だ」と繰り返し強調し、日本母親連盟のスピリチュアリズムの側面も右派的な側面も全面否定することはしなかった。背景を可視化し、事実関係を示し、「自分が目指すものと違う」という立場を表明しただけだ。
それだけのことなのに関係者たちがここまで錯乱し、人目もはばからずわけのわからない言動を重ねる。山本氏のおかげで、日本母親連盟の背景や人脈だけではなく、活動現場におけるメンバーたちの体質まで可視化された。
「本当のこと言って何か不都合でも?」と書かれた山本議員のビラ
<取材・文・写真/藤倉善郎(
やや日刊カルト新聞総裁)・Twitter ID:
@daily_cult3 取材協力/鈴木エイト Twitter ID:
@cult_and_fraud>
ふじくらよしろう●1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『
「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)