2.社会を分断化する脆弱なポイント(特に人種、思想の対立など)が存在し、今後も増大する
人種の対立は今後も進むことが予想される。その要因のひとつが
移民の増加だ。移民の増加によって、国内での人種、民族の対立が起こりやすくなる。ただし、その多くは
誤解に基づいている。これは解決の可能性を示唆する(移民を減らすことはで難しいが、誤解は解くことができる)とともに、
誤解である以上ネット世論操作の格好のターゲットにもなり得ることを意味している。
現在、移民は増加しており、今後もその傾向は続くと考えられている。このことは移民に関連する問題が大きくなることを意味しており、特に気になるのは心理的な要素が考えられていた以上に大きいことだ。2018年8月にニューヨークタイムズに『
Migrants Are on the Rise Around the World, and Myths About Them Are Shaping Attitudes』という記事が掲載された。簡単に内容を紹介すると下記になる。
・世界で移民は増加しているが、移民に関する誤解が根強くあり、それがネガティブな態度につながっている
・誤解その1 人口に占める移民の割合について、ほとんどの国の国民が2倍から3倍多い割合(国によってはそれ以上)で認識している。同様に無職の移民の割合についても過大に認識している。また、移民が元の国民よりも多くの政府補助を受けとっていると誤解している。
・誤解その2 移民はグルーバル・サウスからグローバル・ノースに移動していると誤解する人が多いが、ほとんどの移民は近隣国に移動している。
・誤解その3 貧困や政治的不安定以外の新しい移民の原因が増えている。たとえば地球温暖化による伝統的農業の崩壊である。資産に余裕のある移民も増加している。
これらの誤解によって
実態とかけ離れた移民のイメージが形作られ、ネガティブな態度が形成されるのだという。今後も移民の増加が見込まれる以上、誤解が生まれないように正しい情報を広げ、移民との交流の機会を増やすといった対策が必要になってくる。しかし、
多くの人間はネガティブな情報により強く反応してしまうため、正しい情報よりも誤解の方が広がりやすい。効果的な対策を生み出さないと、
ネガティブな誤解は国民の間に亀裂を生み、ネット世論操作が有効に働く土壌となる。
今後の日本においても移民の増加で人種問題などが大きくなり、ネット世論操作が今以上によく効くようになることは確実である。