予想以上に深刻な「コンビニの書籍売上減少」―「窓際で立ち読み」すら過去のものに?

書籍売上、たった10年間で半分以下に

 以下に「商業動態統計」(経済産業省)と「出版物販売額の実態 2018」(日本出版販売)により作成した、2007年度から2017年度までの国内のコンビニエンスストアにおける分野別販売額推移を示した。 「商業動態統計」ではコンビニエンスストアの分野別販売額推移を発表しているものの、書籍(雑誌含む)のみの売り上げは発表しておらず、それらは「非食品」に含まれている。そのため、コンビニにおける書籍(雑誌含む)販売額は「出版物販売額の実態 2018」を参照することとし、非食品の販売額からその数値を引いた数を「非食品(書籍除く)」の販売額とした。 国内コンビニにおける分野別販売額推移 コンビニ全体の売り上げはこの10年間で約1.5倍に増加したのに対し、コンビニにおける書籍売り上げは減少の一途を辿り、10年間で約6割も減少していることが分かる。ちなみにこの間の書籍全体(日販調べ、電子版除く)の売り上げ減少率は約3割で、コンビニにおける書籍売り上げの低下速度がいかに急激かということが伺える。2007年度にはコンビニ売り上げ全体における書籍の割合は約5.2パーセントであったが、2017年度には約1.3パーセントにまで大きく減ってしまった。  近年、コンビニの店舗数は年々増加しているため、これを「店舗当たりの売り上げ」とするとよりその「深刻さ」が見えてくる。2007年度には1店舗あたり年間約968万円の書籍を売り上げていたが、2017年度には約279万円にまで減っている。 コンビニエンスストア一店舗あたりの書籍売上推移 書籍の場合、一部を除いて基本的に売れ残ったものは返品することが可能であるため、消費期限が短い食品を販売するよりもリスクは少ない。しかし、コンビニ側がリスクを取ってまで他の売場を増やしたほうが利益に繋がると判断するほど「売上減少は深刻である」ということだ。
次のページ
店作りの「脱雑誌コーナー」化も
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会