これらはどちらかというと洋楽寄りのファンの声だが、洋楽・邦楽両方を同程度聴いているという音楽ファンの意見も見てみよう。
「招いている国なんだから、サポートアクトをつけるのは大いにアリだと思います。呼んでいる国の代表ですよ。サポートのアリナシは純粋に好き嫌いだと思います。あとは本当にサポートする側に、出る価値があるか。たとえば、サポートバンドのファンが場所取りをしていて、メインのバンドが始まった瞬間に帰るケースはどうかと思います。お客さんのリスペクトも大事。バンドの好みを言い出したらきりがないし、呼んでいるプロモーターも商売ですから仕方ないですよね。ただ、サポートの国内バンドが有名なら、ステージ上で『いいバンドだから、最後まで観てけよ!』と言うべきです」(38歳・男性・レゲエファン)
海外アーティストの地位が高く、国内アーティストは“前座”。そんなイメージが強いが、逆のケースもあり、それによって弊害が起きることもあるのだ。
「観てみたい組み合わせは、メジャーなアーティストならブルーノ・マーズと星野源とか。レゲエなら、ダミアン・マーリーとランキン・タクシー。客も食いつくし、お互いへのリスペクトが感じられるはずです。レゲエファンは数が少ないから、洋楽・邦楽ファンの垣根が低い気がします」
また、これらは条件が合えば日本のアーティストも観てみたいという例だが、なかにはもっと悲惨な場合もある。
「以前、ノラ・ジョーンズを観に行ったら、サポートで日本のアーティストが出ていたんです。ライブはすごくよかったのに、会場内が『早くノラを出せよ!』みたいな空気になっていて、野次が飛んだり複雑な気持ちになりました。僕が国内外の理想のラインナップを考えるなら、ニーナ・シモンとUAを観てみたいですね」(26歳・男性・ソウル&ジャズファン)
還暦越えのオールドロックファンにも話を聞いてみたが、思いのほか日本人アーティストのサポートに関しては好意的な意見が返ってきた。
「チケットの価格がはねあがらないという前提ですが、いいと思います。そもそもメインの洋楽アーティスト目当ての客からすると、普段食わず嫌いをしている日本の音楽に触れる機会になって、仮につまらなくても特に損に感じません。同種のバンドを選ぶか、敢えてメインのバンドがムムっと思う相手を選ぶかというプロモーターのセンスも、ある種の楽しみになり得る。記憶にあるのは、大昔の後楽園球場でジェフ・ベックと一緒に出ていた四人囃子ですね。あれはフェスティバルのようなイベントだったと思いますが……」