「会話中にしかめっ面になってしまう」。改善策は口元にあった

 筆者は身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習する分解スキル反復演習型能力開発プログラムを実施している。たとえば表現力を高める演習では、1分間で相手に対して自己紹介や仕事紹介。それを自撮りしたビデオを再生し、自分で確認するということを行っている。

動画を自撮りしてスキルの改善点を見つけよう

photo via Pexels

 自己紹介や仕事紹介をしているビデオを自分で観てもらうと、ほとんどの人から「こんな表情をしているとは思わなかった」という感想をもらう。そして、具体的にどのような表情が気にかかったかと聞くと、「相手をにらんでいるように見えた」と答える人が多い。  自分ではにらんでいるつもりでなくても、自撮りしたビデオを見ると、にらんでいるのだ。他ならぬ自分が見て、そのように見えるので、否定のしようがない。こうして改善点の現実を直視することで、改善しなければならないという気持ちが高まりやすい。  自己紹介や仕事紹介をして、相手がどう感じたかというフィードバックをもらう演習もある。しかし、相手からフィードバックをもらっても、「いや、そんなはずはない」「相手の見方がおかしい」「自分ではできている」と思って、改善点を深刻に受け止めないケースが多い。自撮りしたビデオを他ならぬ自分で再生して、自分で改善点を見出すことの意味はそこにあるのだ。  自撮りしたビデオを見て、自分が「相手をにらんでしまう」表情をしていることを直視すると、それを現実のものとして受け入れて、いったいなぜにらんでしまっているのだろうと考える人が少なからずいる。  その理由を聞いてみると、興味深い答えが返ってくる。「一生懸命話そうと思っていた」「気合いが入りすぎた」「想定したとおり話そうということだけに意識がいっていた」……。自分が話している時の状況を思い出して、次々と思い当たる理由が挙がってくるのだ。  日本のビジネスパーソンは、一生懸命になるがあまり、肩ひじが張ってしまい、顔もこわばってしまい、相手をにらんでしまう表情になってしまうことが実に多い。相手をにらまないようにしようといくら強く思っても、思えば思うほど、緊張してしまったり、そのことに一生懸命になってしまうので、実はますます相手をにらんでしまうことになるケースが多い。  そこで、無理に相手をにらまないようにしようとは思わないで、パーツスキルを少し工夫して、結果として相手をにらまないようにすればいいのだ。時々顔を上げる背筋を伸ばす話し始めに相手を見るということは、相手をにらまないようにするためのパーツスキルだ。  これまでの演習経験をふまえると、この順にスキルをひとつ身につけたら、次のスキルを身につけるというように、ひとつひとつスキルを修得していくと上達しやすい。
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ほんの小さな変化で表情が変わる
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