なぜおせちは「冷蔵」で配達されたのか? 冷蔵冷凍車ドライバーの知られざる苦労

サブエンジン式の冷蔵冷凍車。荷台の下にある白い箱が冷凍機のエンジン部

「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。前回は「知っておくべきトラック左後方の死角の危険性」を解説したが、今回は、「冷蔵冷凍車ドライバーの知られざる苦労」を紹介しながら、昨年末に「要冷凍」のおせちが「冷蔵」で運搬され、各家庭へ届けられなくなった、いわゆる「おせち騒動」が起きた原因を、冷蔵冷凍車ドライバー71名から得たアンケート結果をもとに考察していきたい。

冷蔵冷凍車とは

 トラックが日本の貨物輸送の9割以上を担っていること、また、トラックには積む荷物の性質に応じた様々な種類やカタチがあることは、以前までに説明した通りである。  その中で、文字通り「要冷蔵」「要冷凍」の荷物を運んでいるのが、「冷蔵冷凍車」と呼ばれるトラックだ。各家庭を集配する「クール便」は、まさにその類である。  一般的な冷蔵冷凍車は、冷凍食品や生鮮食品はもちろん、生花や医薬品、美術品、塗料、精密機器、化学薬品など、実に様々なモノを運搬しており、対応可能温度もマイナス30度からプラス20度までと幅広い。中には、冷凍マグロなどを輸送するマイナス60度仕様の超低温冷凍車もある。  また、あまり知られていないが、冷蔵冷凍車は「仕切り板」を立てることで、冷凍と冷蔵、冷蔵と常温のように、1台のトラックで複数の温度帯の荷物を運搬することができる。積み方やクルマによっては、3つの温度帯の同時配送も可能だ。庫内の設定温度も、大抵の場合、運転席のコントロールパネルからドライバー自らが確認・調節できるようになっている。

荷台の仕切り板。これで荷物を複数の温度帯に分けることができる

庫内の温度を調節・確認できるコントロールパネル

 このように、冷蔵冷凍車は荷物と一緒に「温度」をも運ぶクルマであるゆえ、外気や庫内環境による温度変化が起きないよう、様々な対策が講じられている。冷蔵冷凍車に「白色」が多いのも、太陽光の吸収を抑えようとする工夫の表れだ。
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冷蔵冷凍車のドライバーならではの苦労とは?
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