射撃場に行けば一般人や観光客でも体験できるほど身近に銃がある
バンコクでタイ人警官が外国人を射殺。2018年12月12日早朝にそんな事件が発生した。
タイ国内でも各メディアが報道したが、日本人の感覚からすると驚くほどあっけなくそのニュースは沈静化している。事件から1か月が過ぎた現在、そんな事件があったということを在住外国人たちでさえも忘れかけているほどだ。
この事件は昨年12月12日未明、外国人観光客が多く集まる歓楽街付近、スクムビット通りソイ11のパブでこの警察官と35歳のフランス人観光客がもめ事を起こしたことが発端となる。ふたりが殴り合いをしたのだが、ある報道では女性の取り合いが原因だという。
そして、このケンカはフランス人が勝ってしまった。一度自宅へと逃げ帰ったその警官は銃を持ち出し、別の場所に移動していたフランス人をみつけ射殺した。この警官は在タイ日本大使館が近いルンピニー署の警察官で、同日中に勤務先の警察署に出頭し、逮捕されている。
外国の一般人に殴り合いで負けてしまう警察官はともかくとして、タイ人だけでなく在住外国人もこの事件にあまり衝撃を受けなかった。タイは警察官による事件が多いからである。日本でも警察の不祥事というのは年間に憶えていなられないほど発生するものだが、タイの場合は殺人に関与しているケースも多々あり、不祥事のレベルが違う。
交差点にある警察官詰め所。交通警察官はあまり銃を使わないが、機動隊や麻薬関連の部門は容赦ない
例えば、2018年だけで見ても5月には中国人女性の誘拐で逮捕された6人の犯人のうちひとりが警察官だった。9月には運転中の車内で妻と口論になった警官が、妻の7歳の連れ子の前で妻を射殺し、自身も拳銃自殺を図っている。
タイは誘拐事件はあまり起こらないのだが、起こるとすれば被害者は子どもではなく大人が多い。身代金を本人から強請るためなど、事情が日本とはやや違う。そんな誘拐犯が警察官だということもざらにあるのだ。着用する警察の制服で近づきやすいことや、署内の端末を使えば資産状況など様々な情報収集もできることで、つい犯行に及ぶのかもしれない。