日本ならある程度見た目で危ない職業に就いていそうかが判断可能だが、タイの場合、マフィアの大ボスも警察の偉い人、それから商店のオヤジも、プライベートのときの服装はだいたい同じだ。容姿ではその人物の裏の姿まで読み取ることはできない。
一部報道では冒頭のフランス人を射殺した警官は、別件で殺人容疑をかけられたこともあるという。警察官になってはいけない性分の男が警察で働いていた。いずれにしても犯行時は非番で、服装からはタイ人でさえ一般人と区別がつかなかっただろう。
タイでは運転時によほど危ないときでないとクラクションを使わない。なぜなら、見た目では相手がどんな人物かがわからないからだ。それだけ用心深く過ごさなければならない社会において、特に歓楽街などアルコールが入ってただでさえトラブルが多い場所で偉そうに振る舞っているタイ人は、おそらくなんからしらの裏の顔を持っている可能性が高い。
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パブなど酒が出る店でタイ人と争うことは最も自殺行為だ
とにかく、見た目で相手が判断できない銃社会において一番やってはいけないこと。タイにおいてそれはタイ人とケンカをしないことである。これから日本の大学生などの卒業旅行シーズンになる。その際、羽目を外し過ぎて痛めに遭わないよう気をつけてほしいところだ。
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タイのギャングたちは敵対グループに出会えば人混みでも銃撃戦を始める
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NatureNENEAM)>
たかだたねおみ●タイ在住のライター。近著『
バンコクアソビ』(イースト・プレス)