ここで二人のすぐそばの低空をオスプレイが、低周波を含む騒音をまき散らしながら、2機通過していった。
元山氏は、これが普天間の日常であり、子供の時はヘリなどに対して「うるさい!」と叫んでいたものの、長じるに従って、当たり前になってしまった、という実体験を村本氏に伝えた。
村本氏は、元山氏が辺野古県民投票に反対する側(辺野古に基地を造るべきだと考えている側)の集会に一人で乗り込んでいった勇気を称えた。
元山氏は、県民投票に参加するという当然の市民の権利が奪われる理不尽さについて、
「2019年の民主主義国家といわれる日本において、こんなことがあってよいのか。投票で選ばれた市長が、市民の投票権を奪うことがあってよいのか」という表現をした。
極々シンプルな真っ当な感想であった。
元山氏に会うためだけに沖縄へ飛んできた村本氏が、何を言わんとしているのかは、明白である。
自分は沖縄の人びとの痛みを見て見ぬフリをすることだけはできない。ところで、あなたはどうですか? という問いかけをしたかったのである。
ここまで書いたところで、ハンスト3日目の元山氏が、現場で記者会見に臨むという知らせが舞い込んできた。
心身のエネルギーを消耗しつつある今、まとまった会話ができるギリギリの状態かもしれない。今から駆け付けたいと思う。
続編も、すみやかに書きたい。
<取材・文/渡瀬夏彦>
わたせなつひこ●28年の沖縄通いを経て移住13年目を迎えたノンフィクションライター。