「投票で選ばれた市長が、市民の投票する権利を奪うことは許されない」。ウーマン村本氏にハンスト青年が語った言葉

渡瀬夏彦

急遽沖縄に駆けつけた村本大輔氏と、ハンストで「住民投票不参加」への抗議を行う元山仁士郎氏

「県民投票阻止」策を練ってきた自民党

 沖縄県では、県議会での条例制定の手続きを経て、米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う「辺野古」県民投票が2月24日に行われることになっている。しかし、そうはさせじとする勢力の妨害活動も激しい。  自民党本部では、じつは2018年7月頃からこの「県民投票」を阻止するための研究を重ねてきていた。そのことを堂々と明かしたのは、石垣市議会議員(自民党石垣支部幹事長)の砥板芳行氏。同年12月15日の浦添市内の集会で正直に語った内容が、右派系インターネット放送「チャンネル桜 沖縄支局『沖縄の声』」の同年12月18日放送分で公開されたのだ。  彼は明確に、この自民党本部の研究結果を受けて、県民投票反対意見書可決や予算案否決をしていこうという動きになったと述べている。(※動画の終盤、放送開始から56分以降)  一部の自治体ではその研究をもとに市町村議員が県民投票実施予算案(誤解のないように述べれば、これは県の全額補助による予算)を否決し、そして首長らが「議会の議決は重い」として「県民投票不参加」の意思表示をする。そういう流れを準備してきたのが、自民党本部である。安倍官邸がこの動きを是認していることは想像に難くない。  その後、宮﨑政久衆議院議員(沖縄2区で惨敗し、自民党比例区九州ブロック復活当選を繰り返している代議士)が、12月上旬の県内自民党地方議員の勉強会で、県民投票予算案否決から首長の不参加表明に至る流れをつくる指南役を務めていたことも発覚した。弁護士資格を持つ宮﨑氏が、地方自治法の解釈を文書として示し、県民投票を否定する地方議員たちを擁護するレクチュアを行っていたのである。  結果、1月14日までの時点で、宮古島市、沖縄市、宜野湾市、石垣市、うるま市の5人の保守系市長が、案の定「議会の議決は重い」「普天間基地の危険除去という原点がおろそかにされている」「賛成、反対の2者択一でなく、やむを得ない、どちらとも言えないの四者択一ならばよい」といった自民本部や安倍官邸や県議会自公会派の主張の受け売りのような見解表明とともに、県民投票への不参加を決めるに至った。

民主主義の危機にハンストで抗う青年

ハンスト横断幕

市民から投票の権利を奪うことは許されない

 この5市の有権者人口は県全体の3割強の36万人に上り、それだけの人が投票したくても、投票の権利自体を、奪われることになってしまう。  このままでは、例えば県民投票実現のための署名活動から奔走してきた「『辺野古』県民投票の会」代表の元山仁士郎氏(宜野湾市民)や玉城デニー沖縄県知事(沖縄市民)も県民投票で1票を投じることができなくなる。  元山氏は、自身を含めて当然認められるべき市民の権利が、市民が選んだ議員や首長によって奪われる、という理不尽な状況に抗議して、15日朝8時から宜野湾市役所前でハンガーストライキに突入した。  15日は所用で東京にいた筆者も、16日の朝8時半頃にはハンスト座り込みの現場へ駆けつけた。  市役所の玄関先の敷地の片隅に夜露をしのぐためのキャンプ用簡易テントが設けられ、その傍らで彼は折り畳み式の椅子に腰かけ、全国紙記者の取材を受けていた。  そこへ宜野湾市役所職員が現れ、市の規定として、ここは使用許可を得てからでないと使用できない場所だと告げに来た。この担当者は非常に紳士的な穏やかな態度で、違う意見を持つ市民から苦情が来ていることも明かした上で「注意に来ました」と話した。元山氏は、「わかりました、一旦撤去します」と答え、次の瞬間、簡易テントは彼の友人たちが片付け始めた。  午前10時頃、そこへある著名な人物が現れた。2017年の暮れの「THE MANZAI」以来、「社会問題・政治問題」をネタにした漫才や独演会で注目されているウーマンラッシュアワーの村本大輔氏である。ハンスト中の元山氏に会うためだけの目的で、朝の飛行機で東京から駆け付けたのだ。  じつは筆者は、前夜の時点で村本氏が来沖することを知り、その即決の行動力に感心し、彼の到着前から現場で待ち構えていた次第である。  二人の対話は、村本氏が元山氏にインタビューする、という形で始まった。
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急遽来沖したウーマン村本氏と元山氏が対談!
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