アルゼンチンのマクリ大統領がブラジル極右大統領就任式を欠席する理由

ボルソナロがチリを最初に訪問した理由は?

 しかし、ボルソナロがチリを最初に訪問することに決めた背景には二つの理由があるようだ。  ひとつは、ボルソナロが最も信頼している政治家オニックス・ロレンゾニがチリの代表紙『LA TERCERA』のインタビューの中で次のようなことを語っていることである。  曰く、「チリは我々にとって堅固なマクロ経済を築いた参考になる国である。チリはラテンアメリカにおいて異質の国となることが出来た。大統領という職務についても我が国のそれよりも、より整備されたものになっている。教育に関してのプロジェクトも質が高い。だから、チリは我々のお手本になる国である」というのである。  そしてもうひとつは、ボルソナロ政権で財務そして経済の舵取りを担うパウロ・ゲデスが、「我々はイデオロギーによってできた南米南部共同市場(メルコスル)に捕らわれるべきではない。我々は全世界と商取引をしたい」、「アルゼンチンは我々にとって優先国ではない。またメルコスルも同様だ」と語っていることである。(参照:「iProfesional」)  メルコスルはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、エクアドルそれにベネズエラの5か国が加盟している共同市場である(但し、現在ベネズエラは一時的に除籍させられている)。メルコスルは欧州連合(EURO)やメキシコ、コロンビア、チリ、ペルーが加盟の太平洋同盟と異なり、4か国の中での取引進展を図ることが先ず主目的だ。メルコスル以外の国との協定には閉鎖的なところがある。そこから加盟国同士の利害衝突ということも起きている。メルコスルはこれまでEUとの経済連携を模索していたが、EUは先に日本との経済連携を優先して、メルコスルとの交渉は止まっている。  そのような中で、ボルソナロ政権が誕生するブラジルは、メルコスルに依存することなく、独自に貿易相手国を広げて行く方針を決めているのである。  その意味からも、チリを訪問した後は米国を訪問予定にしている。そして、その次は彼の選挙の勝利に大いに協力したキリスト教福音派への信頼に応えるべくイスラエルへの訪問を予定しているという。ちなみに、イスラエルのネタニャフ首相はラテンアメリカの大統領就任式に今回初めて訪問することになっている。  ということで、これまでブラジルの新任大統領が必ず最初に訪問していたアルゼンチンが置いてきぼりにされているのである。
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丁々発止の関係の中の「妥協点」
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