「ミナミ素通り」の危機も!? 相次ぐ「新線整備」で大阪の街はどう変わる?

 2025年に大阪万博が開催される夢洲。この夢洲の玄関となる大阪メトロ中央線・夢洲駅の「超高層駅ビル」が話題を呼んでいる。  新たな駅ビルは55階建てで、高さは約275m。完成すれば夢洲のみならず、大阪湾岸の新たなシンボルとなることは間違いない。
夢洲駅タワービル

夢洲開発のシンボルとなるであろう「夢洲駅タワービル」。(大阪メトロ・ニュースリリースより)

 こうした新線建設による変化が予想されるのは夢洲だけではない。以前、大阪市内各地で進む鉄道新線計画について取り上げたが、そのなかでも「注目株」となるのが大阪中心部を南北に貫く「なにわ筋線」、そして同線に連絡する「なにわ筋連絡線(仮称)」「新大阪連絡線(仮称)」だ。  それらの沿線の街においては、早くも新線開通を見越した「変化」が起きつつある。

インバウンド高需要のミナミ、直通運転で「素通り」の危機か

 さて、まずは「なにわ筋線」と「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」の概要をおさらいしよう。 「なにわ筋線」は旧・梅田貨物駅に設けられる北梅田駅から難波方面に至る路線で、総延長は約7.4キロメートル、運行するのはJR、南海、阪急の3社。それ以北は、北梅田駅からおおさか東線(東海道線支線・貨物線を地下化)、そして阪急なにわ筋連絡線(仮称、新線)へ、それ以南は新今宮駅から南海本線、JRなんば駅からJR関西本線(大和路線)への乗り入れが行われる。2031年頃の開業を目指して2019年度に着工される計画だ。  そして、なにわ筋線を北伸するかたちで建設されるのが、阪急の「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」だ。なにわ筋連絡線は北梅田駅から阪急十三駅までの約2.3キロメートル、新大阪連絡線は阪急十三駅からJR新大阪駅までの約2.5キロメートルの路線で、なにわ筋線はこの両線に乗り入れる計画となっている。このJR新大阪駅には、早ければ2030年代中にリニア中央新幹線が乗り入れる予定だ。なお、この3路線はいずれもJR在来線と同じ狭軌(レール幅1,067mm)で建設されるため、新幹線と同じ軌道幅である阪急の他路線には乗り入れられない。阪急ではこの路線以外にも「伊丹空港連絡線(仮称)」「西梅田・十三連絡線(仮称)」などを建設する構想がある。  このほか、大阪市近郊では2019年から2023年にかけて貨物線を活用した「JRおおさか東線」の延伸が、2020年には北大阪急行の延伸が完成予定。そして、2025年に開催する大阪万博に向けては「大阪メトロ中央線」、「JR桜島線(ゆめ咲線)」、「京阪中之島線」各線の延伸計画も持ち上がっているなど、「新線ラッシュ」の様相を呈している。観光客の増加・万博の開催もさることながら、それに伴う交通網の整備に期待する大阪市民も多い。
新線計画図

大阪市周辺エリアの新線計画図

 こうした「新線の開通」により避けられないのが、沿線の「街の変化」だ。  特に大きな変化が起きるかも知れない地域の1つが南海難波駅(通称:南海なんば駅)周辺、外国人観光客で賑わう大阪・ミナミエリアであろう。
次のページ
大阪を象徴する街が「どこにでもある街」に!?
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会