いよいよ山場を迎えたBrexit。「合意なき離脱」ならば10~15%の下落は必至
2018.12.23
英国でのBrexit(英国のEU離脱)が山場を迎え、欧州通貨が大荒れだった’18年。その一方で、米ドル/円は、変動幅が過去10年間で最低を記録。難解なチャートを前に、思うようなトレードができなかった人も多かったはず。中国経済の影響を強く受けている豪ドル、今年大暴落したトルコリラや新興国通貨も、動向を予想していなければ太刀打ちすることは難しいだろう。
そこで、各通貨の専門家&スゴ腕トレーダーが、’19年の戦略を一から解説。波乱の相場を乗り切る【FXの勝ち方】を、頭にたたき込もう。
’19年頭に向けて最も荒れそうな英ポンド。EU離脱交渉の行方が最大の注目ポイントだ。ロンドン在住為替ディーラーの松崎美子氏が解説する。
「’19年1月21日が非常に重要。ここまでに離脱案に関して英国議会の承認を得てEUと正式合意しなければならない。もしもできなかったら、合意なき離脱の可能性が高まる」
合意のアリナシが、その後の英ポンド相場を大きく左右する。
「当初、Brexitには3つのパターンがあるといわれていました。1つは、EUからは離脱するものの準加盟国的なポジションでEUの単一市場にはアクセスできるようにするソフトBrexit。2つ目は2年間の移行期間を設けて単一市場から離脱するハード。そして、まったく合意なく離脱するパターンです。ソフトなら人の移動は自由にできますが、ハードなら制限がかかるうえに、唯一陸続きで国境を接するアイルランドと英領北アイルランドとの国境問題が浮上する。『合意なき』は、’19年3月29日に完全離脱です。ところが、11月にEUと大筋合意に達したことで、ソフト寄りのBrexitか合意なしのいずれかに絞られてきました。ただ、“合意あり”はEUの影響力が強すぎるとして英国議会で反発を受けている」
《予想されるBrexitのパターン》
●ソフトBrexit
EUと大筋合意。アイルランド国境問題が解決されるまで欧州関税同盟には残るかたち。EU法に縛られるが、正式離脱後には単一市場から抜けるため、人の移動に制限がかけられる見通し。ただ、離脱の時期が明記されておらず、国内で反発が
●合意なきBrexit
離脱移行期間なしで’19年3月29日に離脱。英領北アイルランドとアイルランドとの間には検閲所が復活するなど国境問題が顕在化。移民制限は可能だが、物流がストップするなど経済的ダメージが大きい
●白紙撤回
限りなく可能性は低いが、再度、国民投票にかけてBrexit交渉そのものを白紙撤回するパターンもあると言われている
英ポンドは「離脱合意」なら長期で上昇も「合意なき離脱」ならば10~15%の下落は必至
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