いよいよ山場を迎えたBrexit。「合意なき離脱」ならば10~15%の下落は必至

 仮に「合意なき離脱」で決着したら経済的ダメージは計り知れない。 「実は、合意なしの可能性を念頭に英国民と企業はすでに備蓄を進めています。特に品薄になっているのは薬。強硬離脱すれば、その日から関税が発生して税関が混乱するのは必至。イギリスの航空会社はEU域内の乗り入れができなくなるので、物流網は大混乱するのです。おそらく、’19年3月にかけて備蓄目的の駆け込み消費が発生するので、4―6月期からイギリスの景気は急激に冷え込んでいくことでしょう」
合意なきBrexitならば15%下落!?

《合意なきBrexitならば15%下落!?》松崎氏は合意なき離脱で決着すれば最大15%の下落もあり得ると予想するが、最終的に合意に達するという見方。その場合は、利上げ圧力の高まりもあって英ポンド買いが急激に進むと予想している

 では、’19年のポンド相場の予想は?「合意なしならば10~15%は急落するというのがコンセンサス。イギリス系の金融機関は英ポンド/米ドルで1.20までの急落もありえると予想しています。ただ、経済的ダメージの大きさを考えると最終的には合意に達すると予想している専門家が多い。そもそもポンドは明らかに売られすぎなんです。当然、合意に達したときのインパクトは大きい。アメリカに次いで利上げに転じた国であることを考えれば、金利上昇圧力もあって’18年4月の高値である1.43までは一気に回復する可能性が高い」

振れ幅の大きな英ポンドは中央線からの乖離を取れ!

 英ポンド売りよりも、買いのほうが大きな値幅が狙えるというのだ。ポンドを中心にしたトレードで注目を浴びているトレーダーも同調する。 「期限よりも早く合意に達したら、合意内容に対する批判が巻き起こって修正を余儀なくされるケースもある。ディールの鉄則を考えても、期限ギリギリで合意に達して英ポンド買いが進むシナリオが現実的と考えています」  こう話すAki氏は今年だけで4億円も稼いでいるスゴ腕トレーダー。11月には英ポンド/円の売りで1億4000万円もの含み損を抱えて(18ページ参照)ツイッター民をザワつかせたが、最終的に5000万円の損切りを行った後、数日で損失を取り返した。そのトレードの肝は「ボラティリティ(変動率)を取ること」。
次のページ
3本のラインを活用
1
2
3
ハッシュタグ
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会