宮古馬虐待が全国に知れ渡った日、無残にも放置された仔馬の死

虐待問題が全国に知れ渡った日に、死んでしまった仔馬

仔馬の死

S氏のもと、不潔な馬房で死んだまま放置された仔馬

 ボランティアの努力もあって仔馬は元気を取り戻し、Webを通じてその快復ぶりを伝えてきた。遠くは北海道からも支援物資が届き、仔馬のもとに何回かに分けて届けられた。そんなある時、狭い場所に閉じこめられていた仔馬は、柵の隙間から外に脱け出していた。  それを見たS氏はその柵を直すこともなく、仔馬を綱で縛った。仔馬の繋ぎ飼育は綱がからまり事故を起こしやすく、とても危険だ。仔馬は跳ね回り、その綱に絡まって前脚を折ってしまった。ギブスをされた仔馬はうまく歩けず転び、みるみる弱っていった。  そしてある日、仔馬は衰弱し変わり果てた姿で発見された。くしくも今回の宮古馬の虐待問題を全国に広めることとなった『週刊SPA!』発売日の午後のことだった。 「ひどい飼育現場にいる宮古馬たちをどうしたら救出できるのかと悩んできました。これまで、騒ぐことで馬に危害が及ぶことを危惧していました。それを今回『週刊SPA!』が取り上げて事態が明るみに出て『やっとあの仔馬を救える!』と思ったんです。そのわずか数時間後にこのようなことになるなんて……。せっかく全国の方からの応援で、いったんは救うことができたのに」(「ミャークヌーマ宮古馬の会」を主宰するE氏)

牧場によって明らかに違う、宮古馬の扱い

 N牧場で最年長の宮古馬が死んだわずか5日後に、この仔馬が後を追った。一方の馬は最期までたくさんの人の応援を受け、手厚く弔われた。他方、仔馬のほうはS氏の不潔な厩舎で、泥だらけの無残な姿で放置されていた。そのS氏に、まだ市は預け続けるという方針のようだ。  そして、市は全国から寄せられた多くの問い合わせに対して「『週刊SPA!』の写真は昔のもの。現在は改善されている」と説明している。しかし、前回の記事も今回の記事も、どちらも今年11~12月のことなのだ。  飼育者によって、これほどまでに馬の扱いが違い過ぎる現状を市は長年放置してきた。この先も不適格な飼育者が出てくる可能性は否めない。また、それを指導する力を宮古島市も持っていない。宮古馬たちの未来を考えれば、与那国馬や御崎馬のように、全頭放牧を検討するのも必要かもしれない。E氏はこう語る。 「宮古馬は、宮古島の宝です。40年前、数頭にまで減り絶滅寸前だったのを、当時の関係者の頑張りがあって、ここまで命を繋いできたのです。しかし、1年に1頭も増えていません。劣悪な飼育で馬を死に至らしめた飼育者、それを放置していた市当局は当然責任を問われるべきですが、責めてばかりでは何の解決にもなりません。これからどうしていくのか、市と協力しながら宮古馬の未来を創っていきたい」  現在、宮古馬の虐待問題について、全国から注目が集まっている。寄付・支援したいとの申し出もたくさん出てきている。これをきっかけに、宮古馬の扱いが少しでも良くなっていくことを期待したい。 <取材・文/『週刊SPA!』宮古馬取材班>
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