「権力者を縛るルールを、権力者に『違う』と言われても困る」枝野幸男氏語る

米国が集団的自衛権を行使して日本を守ることと憲法は関係ない

 続いて枝野氏は「憲法と安全保障論は別の話」とも強調、安倍首相が「国民のために命を賭して任務を遂行する自衛隊員の正当性の明文化、明確化は国防の根幹に関わる」と主張していることに反論した。 「少なくとも日本では、我々(立憲民主党)を含めて『個別的自衛権は合憲』『自衛隊は合憲』で政治的にも司法的にも決着がついています。もちろん学者がいろいろ言うのは勝手です。『早稲田大学に出ている私学助成金だって憲法違反だ』という論はいまだに根強い。私の大学の憲法のゼミ論は私学助成金違憲論でした。  学者が言うのは仕方がないのですが、政治的にも司法的にも決着がついている。日本が攻められた時は、日本は領土領海を守る権利(個別的自衛権)を持っている。なおかつ日本を守るために他国が集団的自衛権を行使することは否定していない。アメリカが集団的自衛権を行使して日本を守ることについては、日本の憲法は関係がないのです。  だから日米安保条約で、昔からアメリカは日本が攻められた時は、日本にとっては個別的自衛権だけれども、アメリカにとっては集団的自衛権を行使して一緒に日本を守る。これで憲法上、何も問題がないと私は思っています。  結局は安全保障の話は、相対的な問題でしかないのです。つまり相手の国、日本を攻める可能性がある国が、あまり簡単に日本を占領できそうだ、日本を奪えそうだ、侵略できそうだとあまりにもできそうだったら、それはやって来る国があるかも知れません。  でも、そんなことをしたら、自分の国がものすごい大きな被害を受ける。大きな損失を自分達の国も受けるということになれば、普通はやりません。だから、そう思ってもらえる程度にはちゃんと自衛力を持っている必要はあると私は思います。  今の日本は(自衛力は)あると思います。時々、例外的に合理的な判断をせずに自分の国がひどい目にあうのに戦争を仕掛けるというのは80年ぐらい前にあった。同じような間違いをしそうな国(北朝鮮)が近くに一つだけ今のところはあるので、『そこのところに向けてどうするのか』ということは残ります。  しかし、向うが不合理なことをやってくるからと言って、一切被害を受けないようにするのはアメリカですらできません。だから合理的に考えれば、『日本を攻めてくることはバカバカしくてできないような程度の防衛力をちゃんと持つしかない』ということです」
次のページ
目的もわからぬ防衛予算の使い方
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会