「権力者を縛るルールを、権力者に『違う』と言われても困る」枝野幸男氏語る

横田一
枝野講演会

11月4日、早稲田大学の学園祭で講演をする枝野幸男代表

「『お父さん、憲法違反なの?』と言われた自衛官すらいます。このままでいいのでしょうか?」 「国民のために命を賭して任務を遂行する自衛隊員の正当性の明文化、明確化は国防の根幹に関わる」  と、安倍晋三首相が意欲を示していた憲法改正案の今国会提示を、自民党は12月5日に断念した。10日閉幕の臨時国会で自民党改憲案を提示して、来年1月からの通常国会で発議にこぎつけるという日程を描いていた。しかし、与野党合意のもとで開催されるはずの憲法審査会を、野党側の了承を得ずに強引に開会するなど、法案審議をめぐる与党側の姿勢が強引かつ拙速で、憲法を議論する環境にはないとして野党側がこれを拒否。下村博文憲法改正推進本部長がCS放送で野党側の動きを「職場放棄だ」などの失言もあり、憲法審査会は満足に開かれず、安倍改憲プランが頓挫したのだ。  10月24日、臨時国会冒頭の所信表明で安倍首相はこう意気込んでいだ。 「国の理想を語るものは憲法です。憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく。そうした中から、与党・野党といった政治的立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られると確信しています。そのあるべき姿を最終的に決めるのは、国民の皆様です。制定から70年以上を経た今、国民の皆様とともに議論を深め、私たち国会議員の責任を、ともに果たしていこうではありませんか」  こう言うと同時に、安倍首相は衆院憲法審査会の幹事を総入れ替えし、これまで与野党合意を重んじていた船田元・元経済企画庁長官と中谷元・元防衛大臣を外す代わりに、自分の息がかかった側近である下村博文・元文部大臣と新藤義孝・元総務大臣で固めた。

なぜ憲法を変えようとしているのか、さっぱり分からない

 こうした強行姿勢対して立憲民主党の枝野幸男代表は10月29日、「憲法の本質は国民の生活を守るために国家権力を縛ることにある。(所信表明演説は)妄言だ。首相が先頭に立って旗を振るのは論外だ」「憲法とは何か、一から学び直して下さい」と代表質問で批判。  11月4日の早稲田大学の学園祭での講演では「不勉強な政治家の典型」と酷評し、質疑応答で憲法改正と安全保障について聞かれた時のことを話し始めた。 「今なぜ憲法の話を持ち出さないといけないのか、さっぱり意味が分からない。憲法は法律の中の親分、基本法ではありません。『憲法は権力者を縛るためのルール』というのが定義ですから。定義に対して『これは違う』と(権力者の)安倍首相に言われても困ってしまうのです。 (安倍首相の所信表明演説のように憲法に)国の理想を書くとすれば、『権力者はこうあるべし』という国の理想を書くのであって、『この国がどうあるべき』という理想を書くのではない。『国会で聞かれたことは正面から答えろ』とかであれば、まだ分かります。  国家の理想は、憲法の定められた枠で立法権という権力をお預かりしている国会が『国の理想を掲げた法律を作って』という話です。なぜ(憲法を)変えようとしているのか、さっぱり意味が分からない」
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不勉強な政治家ほど「憲法と教育」を語る
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