電車もなかなかですが、空港はもっと酷いことになっています。
「徳島阿波おどり空港」にインスパイアされて、高知は「高知龍馬空港」になり、このへんまでは許容できる範囲だとして、「米子鬼太郎空港」や「鳥取砂丘コナン空港」はアウトだろうと思うのです。
「空港で事件を起こすつもりか!」という話ですし、12月23日に知事選が行われる宮崎県は「宮崎ブーゲンビリア空港」を名乗るようになりました。「ブーケンビリアってなんぞ?」という話ですが、ブーゲンビリアはオシロイバナ科の紫っぽい色のお花の名前でした。お花が好きな人にとっては「綺麗なお花よね」みたいな話なのかもしれませんが、こちとら心の花すら枯れている毎日お疲れ気味のオジサンなので、「ブーゲンビリアを知らん!」という話で、空港にそんなメルヘンな名前をつけられてもピンと来ないのですが、このブームはどんどん広がっています。
得体の知れないカタカナをつけたがるオジサンのブームは今に始まったことではないので、「高輪ゲートウェイ」みたいなことは、これからもどんどん起こりそうです。もしかしたら、いちいち驚いていること自体が時代に馴染めていないのかもしれません。これからどんどん「俺はまだホゲホゲしたジジィじゃないぞ、ほら、こんなナウい言葉をつけられるんだ!」のオジサンが続出し、無駄にナウいカタカナを付け足された「蛇足ネーム」が世の中に広がっていく可能性があるのです。
世の中の4分の1が65歳以上の高齢者で、ジジィになってなお「現役」を主張してくるジジィたちが若者たちのセンスを退け、高度経済成長期の発想で名前をつけてくる。
いや、プロジェクトそのものが高度経済成長期の発想であり、既にバブルが忘れられないオジサンたちのセンスになっていて、僕たちは30年前のまま時間が止まっているように思えます。
今、地方の選挙も隅々まで見ていますが、よく見るとこんなことばっかりです。3日もすれば世の中の人たちは新駅が微妙なネーミングだったことも忘れてしまうのだと思いますが、政治の世界もまったく同じ構造で、すこぶる残念なことになっています。こじつけになるかもしれませんが、このネーミングに違和感を持った人は、せっかくなので、少しでいいから政治や選挙に興味を持ってほしいと思います。
<取材・文/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
@chidaisan)>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
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