有村架純も演じた“鉄道ウーマン” 。育休と勤務体系の両立が課題に

ローカル線の命運を握る女性職員

 他の職員への負担が増してムリな勤務が増えれば、それこそ安全に支障を来す可能性も否めない。もちろん、各事業者ではそうしたことがないような人員確保などに努めているが、運転士は国家資格なうえ、車掌も厳しい社内選抜を経た人材だけが就ける仕事。少子化が進むこれからの時代、人員確保が難しくなることも考えられる。 「それでも理解が進んでいるのは事実ですから、より女性が鉄道の現場で働きやすくなる環境になっていくことは間違いないでしょう。駅員や車掌など乗客と接する機会の多い職種では、年配の方を中心に男性と比べて女性の方が気軽に声をかけやすい、相談しやすいなどの声もあるようです」(鼠入氏)  近年、駅員などへの暴言・暴行といったパワハラが問題視されることも多くなっているが、こうしたことへの対策は女性だけではなく男性職員も同時間帯に配置することで防ぐことはできる。 「JRや大手私鉄で女性が活躍するのはもう当たり前のことでしょう。むしろこれからは地方ローカル線。有村架純さんが運転士役を演じた映画『かぞくいろ』で舞台になった肥薩おれんじ鉄道でも、実際に現役の女性運転士が活躍しています。特にベテラン運転士に頼ってきたローカル線では、今後を担う人材を確保するためには男だ女だと言ってはいられない時代ですから。一昔前は女性が運転している不安だという客もいたようですが、最近は殆ど見られなくなったそうです」  これから先、ますます全国各地で鉄道ウーマンが活躍する姿を見る機会が増えることだろう。そんな彼女たちの奮闘に出会えるのも、鉄道の旅の新しい楽しみのひとつになるのかもしれない。 <取材・文/HBO編集部>
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