ダウの暴落は日本の株価にも大きな影響を与えました。ダウが史上最高値に近かった10月2日(火)の日経平均終値は前日比24円高の2万4270円。1991年11月13日以来およそ27年ぶりの高値を付けました。
これをピークに日経平均はダウ下落に足を掬われて下げ続け、29日(月)には月間最安の2万1149円まで暴落しました。ピークからの下落幅は3121円です。ダウ暴落が日経平均株価の暴落を引き起こしたことは明らかです。
12月の米利上げは既定路線、金利と株価の関係に目が離せない
米政策誘導金利(FFR)目標の推移
これからの株価の見通しはどうなるでしょうか。11月初めに発表された10月の雇用統計は引き続き米経済の好調ぶりを示しています。このため、米連邦準備理事会(FRB)は12月に開くFOMC(連邦公開市場委員会)で、今年4回目の利上げに踏み切るのは確実視されています。
政策誘導金利(FFR=フェデラル・ファンド・レート)は0.25%引き上げられ、2.50%の水準になる見通しです。2019年も3回の利上げが見込まれています。そうなれば、来年中に短期金利であるFFレートが3%を超える可能性があります。
FFレートが引き上げられれば、当然長期金利の上昇を促します。実体経済との比較で、金利が高すぎれば企業収益を圧迫し、景気減速のきっかけにつながるかもしれません。それが株価に影響を与えることは当然です。来年は、金利と株価の動向が注目される年になりそうです。
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『
新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『
ゼミナール日本経済入門』(同)、『
環境経済入門』(日経文庫)、『
環境再生と日本経済』(岩波新書)、『
サッチャリズム』(中央公論社)、『
サステナビリティ経営』(講談社)など。