最近数か月のNYダウの推移
ところで、今年10月はダウが乱高下し、日経平均にも大きな影響を与えました。損切、追証に追い込まれた個人投資家も多かったようです。大変興味深い現象だったので、簡単に振り返ってみましょう。
ダウは9月末から10月初めに5営業日続伸し、10月3日(水)の株価は前日比54ドル高の2万6828ドル。史上最高値を更新しました。それをピークに下落に向かい、10日(水)は前日比831ドル安、翌11日(木)も545ドル安、2日間で1376ドルもの暴落です。
ピークの3日と比べると、1週間ほどで1776ドルの下落です。その後も振るわず、29日(月)には、月間の最安値、前営業日比245ドル安の2万4442ドルまで落ち込みました。ピーク比で2386ドルも下げたことになります。
10月の米雇用統計
なぜ、ダウは突然暴落したのでしょうか。その謎を解くカギが5日(金)に発表された米国の9月の雇用統計です。9月の雇用統計は米国経済の好調さを示すものでした。まず、非農業部門雇用者数は前月比13.4万人増。市場予想を下回りましたが、7月、8月の雇用者数が大幅に上方改定され、7~9月の3か月平均は19万人増と高水準を維持しました。失業率は3.7%。48年9カ月ぶりの低水準を記録しました。さらに9月の平均時給は27.4ドル(前月比0.08ドル増)となり、過去最高を更新しました。
市場関係者は好調な9月の雇用統計を受けて、需要が膨らみ物価上昇圧力が加わると判断したため、長期金利が急上昇しました。雇用統計発表後、5日の10年物国債の利回りは一時、2011年5月以来約7年ぶりに3.24%まで跳ね上がりました。
「将来、金利上昇が続けば企業業績が悪化する」と判断した投資家が利益確定のため株売りに転じ、それがあっという間に株式市場を包み込んで今回のダウの大暴落を引き起こしたと言えるでしょう。市場関係者の中には、今回の下落を「長期金利暴落」と呼ぶ人もいます。