抗日遊園地にラブドール仙人の庵!? 秘境ライター3人が選ぶ、「世界のさいはて」とは?

なんでも神様にしてしまう村とずっと喧嘩してる村

 続いて、各自”さいはてスポット第2位”の発表に移る。安田氏はここで中国の華南地方にある「謎の村」2か所を紹介。
人民解放軍廟

福建省泉州にある人民解放軍廟(写真:安田峰俊)

まずは、福建省の泉州にある人民解放軍兵士を祀った廟です。台湾には旧日本軍の零戦パイロットを祀るお堂がありますが、中国大陸には人民解放軍の兵士を祀る廟があります。人民解放軍と言えば宗教とは無縁の共産党の人たちのはずなのに、なぜ廟に祀っているのか。国共内戦のときに村人を助けようとして死んだ兵士がいたからだそうです」(安田氏)  福建省や広東省の東部では、なんでも神様にしてしまう慣習というか伝統がある。 「例えば、家にある神様の祭壇に毛沢東の写真を置いていたりして、なんだかもうよくわからない。毛沢東がカリスマだから神様並みに祀っている、とかではなくて、古来の伝統の神様の中に、毛沢東が列せられているんです。同じように、この廟では解放軍の兵士が神様として祀られています」(安田氏)  もう一つの「謎の村」は福建の人民解放軍廟から数百キロ西にある、広東省掲陽市である。ここは2013年の2月頃、村と村の戦争「械闘」(かいとう)が発生した場所だ。
武装した村人

ヘルメットに槍状の武器で武装した村人たち(寮東村 ※中国メディアより)。

 上記写真の、向かって右手が寮東村、左手が劉畔村だ。  事件は2013年の春節(旧正月)に起きた。村の境界にある道で寮東村の村人が神輿を担いでいると、劉畔村側が嫌がらせのためにステレオを持ってきて、大音量で音楽か何かを流した。それに腹を立てた寮東村側が「何をするんだ」と棒を持ち、写真の状況となったという経緯である。 「私はこの事件をネットニュースのサイトで知ったのですが、試しにバイドゥ(中国のSNS)の掲示板を覗くと、彼らがお互いに『隣村死ね』とか書いていた。まさにヘイトスピーチです。全員ヘルメットに武器みたいなものを手にしている。数百人が激突して、お互いに花火を打ち合って、農薬に使うはずだった硫酸をお互い投げ合って……。それを見て、これは絶対現場に行きたい、と。しかし、手がかりはネットニュースで見た上の現場写真1枚だけ。とりあえず掲陽の村の中に行き、写真片手にひたすら歩いていたら、完璧に同じ角度の場所を発見して、興奮して撮ったのが下の写真です」(安田氏)
「械闘」の現場

ひたすら歩いて「械闘」の現場を発見した(写真:安田峰俊)

 この村がある広東省の東部では、広東語ですらない方言を使う。まったく聞き取れなかった安田氏は、地元の若い女性に通訳してもらい寮東村の高齢男性に「劉畔村はなんで嫌なんですか」と聞いた。すると、「あいつらは新参者だ」「わしらは600年の歴史があるのに向こうは400年しかない」と返答されたという。  さらに、「昔からあの村とは戦ってきた」とも。そのきっかけは、「宣統3年に境界線を侵された」ため。宣統3年は辛亥革命の前、1910年。未だにその争いが続く、凄まじい「村間抗争」なのである。
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反日テーマパークの適当さ加減に唖然
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