準天頂衛星「みちびき」の想像図 (C) 内閣府宇宙開発戦略推進事務局 みちびきウェブサイト
内閣府宇宙開発戦略推進事務局は2018年11月1日、日本の衛星測位システム「みちびき」の本格運用、測位サービスの提供を開始した。
「みちびき」は、いまやスマートフォンやカーナビでおなじみとなった衛星測位システムのひとつで、米国のGPSを補完するとともに、GPSをも超える世界最高レベルでの精度の測位も可能となる。その利用をめぐっては大きな期待と可能性がある一方、課題もある。
「みびちき」は、日本の内閣府宇宙開発戦略推進事務局が運用する衛星測位システムである(厳密には、準天頂衛星システムサービス株式会社が、PFI事業として実際の運用などを担当している)。
衛星測位システムは、スマートフォンやカーナビなど、ありとあらゆるところで利用されており、私たちの日常生活からレジャーやゲーム、さらに物流やインフラにいたるまで、いまやなくてはならないほどの存在となった。
衛星測位システムの中で最も有名なのは「GPS」だろう。GPS(Global Positioning System)は米空軍が運用する衛星測位システムで、高度約2万kmの軌道に、30機の衛星を地球を覆うように配備している。あまりに有名になりすぎたため、小型軽飛行機がすべて「セスナ機」と呼ばれるように、衛星測位システムそのものをGPSと呼ぶことも多い。
GPSなどの衛星測位システムは、よく「衛星が自分の位置を教えてくれる」と勘違いされているが、じつは正しくない。実際には、衛星からは軌道情報と、そのときの正確な時刻などの情報を乗せた信号が出ているのみで、それをスマートフォンなどの端末が受け取り、その情報をもとに端末側が計算することで位置を割り出している。
衛星測位システムにはGPS以外にも、ロシアの「GLONASS」、欧州の「ガリレオ」、中国の「北斗」などが運用されている。
米国が運用する衛星測位システム「GPS」の模式図 (C) NASA