麻薬王「エル・チャポ」の公判がNYで開始。最も費用がかかる裁判に

白石和幸

photo/U.S Immigration and Customs Enforcement(Public Domain)

 メキシコで麻薬組織カルテル「シナロア」を創設し世界の麻薬の密売を支配した麻薬王エル・チャポ(El Chapo)ことホアキン・グスマン・ロエラの公判がニューヨークのブルックリン地区連邦裁判所で11月5日より開始された。
 エル・チャポは米国への麻薬の密輸入及び密売、武器の所持、資金洗浄など11の罪状に問われている。

 麻薬の密輸入と密売については、コカイン、ヘロイン、大麻、メタンフェタミンなどを2003年から米国に密輸して販売していたとされており、その量は457トン、そこから得た密売による収益は140億ドル(1兆5400億円)と推察されている。(参照:「El Confidencial」)

 公判の開始にあたって、先ずは陪審員12人と6人の予備員を選ぶのに800人の中から選考されているが、その承認などを済ませて、実際に証人尋問など公判が開始されるのは11月13日とされている。(参照:「El Pais」)

NY市民にも不都合を強いる裁判

 公判は4カ月かかると見られており、その間彼が収監されている連邦刑務所メトロポリタン矯正センターから裁判所までの往復の行程の中にブルックリン橋を通過せねばならない。その際に、彼を搬送してこの橋を通過する時に橋は一時閉鎖されることになっているという。そして移動中は空からはヘリコプターで搬送車を監視することにもなっているそうだ。4か月間、ニューヨーク市民はこの不都合に堪えねばならないのである。

 この公判にかかる費用は5000万ドル(55億円)と推測されており、米国の法廷で行われる最も費用のかかる裁判だとされている。(参照:「Clarin

 エル・チャポの3人の弁護士は彼の移動がもたらす不都合を解消する為に、公判中は彼を裁判所の近くの拘置所に移すように裁判長のブライアン・コーガンに要請しているが、今の処は受理されていない。

 エル・チャポはメキシコから現在の刑務所に2017年1月に移されてから彼の独房は24時間監視されており、照明も24時間点灯されたままで、小窓はあるが、内側からは外が見えないようになっているという。このような厳しい条件下に置かれている関係から公判中に条件が緩やかになる拘置所に収容するということに裁判長は抵抗を感じているようである。(参照:「El Confidencial」)

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麻薬王の足跡
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