和平合意に至る前のFARCはコロンビアの1122ある自治体の中で242の自治体で闘争を展開していたが、元戦闘員らで構成されている「再生FARC」は57の自治体で影響力を発揮しているそうだ。しかし、嘗てのような施設はなく、軍服もない。地べたの上に葉っぱを敷いて寝ているという状態。食料も手に入った時に食べる。それでも彼らは慣れない市民生活よりもゲリラ組織の中での生活に満足し、やるべきことを把握しているそうだ。
かつては麻薬の栽培で得た収入などで運営費は賄われていたが、現在の収入の安定しない再生FARCは単に犯罪組織に転落してしまう可能性もある。(参照:「
El Espectador」、「
NY Times」)
そんな「再生FALC」だが、ELNやEPL(人民解放軍)と同様にベネズエラからの脱出者をリクルートする絶好の機会だと見ている。
ベネズエラからコロンビアに流入した脱出者は100万人。脱出者の多さの前に、ベネズエラ政府はパスポートの発行が間に合わない、或いは敢えて発行しない状態が続いている。だから、コロンビアに入国するのに入国に必要は証明書を持たないベネズエラ人が多くいるという。しかも、彼らの多くが食料難に苦しんでいる。
この様に、困窮しているベネズエラ人の苦しさを逆手にとってELN、FARC、クラン・デル・ゴルフォ、EPLなどゲリラ組織や犯罪組織はベネズエラの領土内に侵入して「給料も支給する、食料にもありつける」といって、特にベネズエラの若者を対象に勧誘する活動を積極的に進めているのである。中南米の組織犯罪を調査するアメリカの非政府系ジャーナリズム団体「InSight Crime」によると、既に5万人のベネズエラの若者を対象に月給300ドル(33000円)を支給するといって勧誘しているという。ELNには現在まで既に300人のベネズエラ出身者が加わったそうだ。(参照:「
Infobae」)
また最近は密入国斡旋業者も存在するようになっているそうだ。この業者はメキシコから米国に密入国するのをビジネスにして存在しているが、そのようなビジネスがベネズエラとコロンビアの国境地帯にも誕生しているというのである。
更に、ELNはベネズエラの金鉱山や自然資源の豊富な地帯にも侵入して地元の鉱山業者を追い出すような形で資金源の確保をしているそうだ。(参照:「
Infobae」)