経済危機のベネズエラで活発化する、コロンビアのゲリラ組織によるリクルート活動

白石和幸
ELNのポスター

コロンビアのゲリラ組織ELNのポスター photo by Julián Ortega Martínez via flickr(CC BY-SA 2.0)

 2016年に和平合意そして武装解除となった半世紀続いた左翼ゲリラコロンビア革命軍(FARC)。

 その和平交渉に当初から反対していた反主流派や和平合意後に彼らの生活が保障されていないと感じた一部の戦闘員らがまたゲリラ組織に復帰している。その数およそ2800人と推測されている。(参照:「HispanTV」)

 FARCとの和平交渉成立の後、コロンビア政府は同じくゲリラ組織民族解放軍(ELN)と交渉を進めていた。が、サントス前大統領が任期を終えてドゥケ大統領の政権になってから、ドゥケはもともとゲリラ組織との和平交渉に反対していた人物で、ELNとの交渉も表向き継続するとしながらも進展が見られ無い状態が続いているという。

 その一方で、ELNや再編された再生FARCは勢力の拡大に戦闘員を募っているという。その対象になっているのが貧困に喘いで国外に脱出しているベネズエラ人で、彼らを勧誘して戦闘員に加えているというのだ。

社会で孤立化するFARCの元戦闘員たち

 サントス前大統領が主導してコロンビア政府はFARCと和平交渉を成立させた時に合意された130項目の中で、現在まで実際に実施されたのは僅かに4%しかないという。その具体例として、コロンビア議会の上院と下院に選挙結果に関係なくそれぞれ5議席が与えられたこと。また、元戦闘員に毎月200ドル(22000円)が支給されていることである。しかし、これも来年8月まで保障されているだけである。

 合意された全て項目の中の51%はまったく白紙で、38%の項目が最低限の進展が見られる程度だという。(参照:「El Pais」、「El Espectador」)

 FARCの元戦闘員が強く不満に感じているのは彼らの身の安全が保障されていないということ。和平合意が成立した2016年から既に少なくとも75人の元戦闘員が一部その家族を含め殺害されているという事実。彼らを殺害したのはコロンビアで根を張っている麻薬組織クラン・デル・ゴルフォやFARCの和平交渉に反対した反主流派だと推察されている。(参照:「NY Times」、「RCNR」)

 和平合意に従ったFARCの中でも元幹部だった戦闘員は常に次は自分が殺される番ではないかと脅威を感じているという。また、長くゲリラ組織の中で生活していると、一般の市民生活に馴染めないと感じる者もいるという。

 そのため、前述したように、全盛期にはおよそ1万3000人の組織だったというFARCに、すでに2800人余りが戻りつつあるのである。

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経済危機のベネズエラで活発化するゲリラ組織のリクルート

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