PG1104NA / PIXTA(ピクスタ)
自民党の若手議員でつくる「2020年以降の経済社会構想会議」(橘慶一郎会長)は、6月27日に国会改革提言「
よりオープンに、より政策本位で~政治不信を乗り越えるための国会改革~」を二階幹事長に提出しました。同会議の小泉進次郎会長代理の知名度の高さから、小泉改革案などと報じられています。
興味深いことに、熱しやすく冷めやすい国会報道において、
小泉議員らの提唱した改革論議は、繰り返し取り上げられています。小泉議員だけでなく、他の議員もテレビ番組で議論を交わしたり、新聞紙上で意見を表明したりしています。筆者も、ハーバービジネスオンラインで小泉改革案を論じましたし(参照:
小泉進次郎ら自民党若手議員による国会改革案や参議院に提出された公職選挙法改正案は「改革の皮を被った党利党略」)、他の報道機関からの取材を受けたりしました。
これは、現在の
国会のあり方に疑問を抱いている有権者が多くいることの表れと考えられます。与野党の支持や無党派であるかを問わず、国会のあり方に疑問を持たれているとすれば、それは与野党を超えた重要テーマとなります。なぜならば、法律を検討する最終段階が国会ですし、安倍晋三首相は憲法も俎上にのせようとしています。すると、その前に、議論の土俵を改善することが、ますます必要になります。
これは、有権者の期待するところを捉える能力について、
小泉議員の鋭さを物語っています。つまり、小泉議員の「炭鉱のカナリア」としての能力は、賛否はさておき、多くの人々が認めざるを得ないところでしょう。
しかし、与党主導の国会改革は、臨時国会の出ばなからくじかれました。高市早苗衆議院議院運営委員長の示した提案が、野党から強硬な批判を浴び、撤回を余儀なくされたからです。高市提案は、政府提出法案の審議について、一般質疑(行政監視の議論)や議員提出法案の審議よりも、実質的に優先することを確定させてしまうものだったからです。これが決まってしまえば、
政府与党は、今以上に一般質疑や議員法案の審議を拒否しやすくなるところでした。
しかも、与党の改革案は、的外れの部分が見受けられます。
多くの有権者は、国会での審議の充実を求めているはずで、右から左へと「承認」のゴム印を素早く押していくことだけではないはずです。政府法案であっても、多面的な角度から批判的な検討を加え、それでも問題ないとされる法案の成立を求めていることでしょう。欠陥法案の成立を願う人は少ないと考えられるからです。