アジアを狙う東急のまちづくり戦略。「田園都市」がまるごと輸出で東急バスも

「田園都市」や「ブランズ」をアジア各地へ「輸出」

 東急グループは永年に亘って、都市の拡大に合わせるかたちで沿線に新興住宅地を開発、商業施設や交通インフラを一体的に整備するというまちづくりを得意としてきた。同グループが大正時代から手掛けてきた、鉄道を建設してその沿線に沿って新たな街を建設するという「日本型の田園都市計画」はその代表格だ。  高度成長期にはそうした東急流のまちづくりは更に広がりを見せ、北海道から九州までの全国各地でニュータウンや商業施設の開発に参画、時には各地方の交通企業を傘下に収めるなどして交通インフラとの一体整備もおこなってきた。  しかし時は流れ、少子高齢化と大都市圏の都心回帰が起きるなか、国内における21世紀以降の東急グループのまちづくりといえば、渋谷をはじめとした都心エリアの再開発と古い郊外ニュータウンの再構築に重点が置かれるようになってきている。
東急

創業時から「まちづくり」に力を入れる東急グループ。その手腕は世界へと広がりを見せている。

南町田駅前

再開発のため2016年に閉館した南町田駅前の東急グループの商業施設。近年は郊外ニュータウンエリアの再構築も行われている

 一方で、過去に蓄積された東急グループのまちづくりノウハウは、成長が続くタイ、そして東南アジア各地で華開いている。  現在、東急グループはタイのほかにもベトナム、インドネシアなどでも大型開発事業に参画。大都市エリアでは日本でもお馴染みとなった東急不動産の分譲マンション「ブランズ」シリーズの展開もおこなっているほか、近郊エリアでは「田園都市計画」のような総合的まちづくり事業にも参入している。

東急グループによる海外のおもな新規事業。(2010年以降、東急グループ資料などを基に作成)

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ベトナム版「田園都市」では東急バスも
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