「PDCAの次はOODAだ!」と飛びつくなかれ。日本企業がOODAを即導入することの危険性

松井克明
打合せする人 生産の現場だけではなく、政府レベルから企業のイノベーション、製品開発、そして教育や議会まで、多くの分野で導入されているPDCA。PDCAとは、「Plan-Do-Check-Action)の頭文字をとった「計画」をもとに「行動」し、「チェック」して「改善」するという継続的改善手法だ。

 このPDCAは日本オリジナルで、「ブレをいかになくすか」といった品質向上を要求される統計的品質管理において重要とされ、工場の品質統制・管理の世界で管理するツールとして60年間支持されてきた。現在ではPDCAサイクルを回すことがビジネスマンの鉄則のように扱われている。

 しかし、環境の変化や想定外の事態への対応が、後手後手に回ってしまう問題点が指摘され、「創造するツール『OODAループ』の導入が最適ではないか」という経営コンサルタント・入江仁之氏の提言を紹介した。(「日本を支配する呪縛『PDCA』は日本ガラパゴスの概念。激変する現代社会では新しい理論が必要」

いまの日本企業がそのまま「OODAループ」を導入することの危険性

pdca OODAループは、みる(Observe)、わかる(Orient)、きめる(Decide)、うごく(Act)、みなおす/みこす(Loop)の5つの思考プロセスからなる。

「OODAループとは、常に中身が動いていく思考法です。自分の世界観を持ち、その世界観を状況や相手に合わせて更新しながら、軍事でいえば『敵の戦闘意志』、ビジネスでいえば『相手(顧客やライバル企業)の思い』を探り、相手の心をどのような状態にするかを決めて動くことです。経営のOODAループと工場のPDCAサイクルを連携させることで、環境に適した行動がとれることに加え、想定外の事態にも対処でき、失敗も回避できます」(入江氏)

 ただしここで注意をしたいのは、いまの日本企業でそのまま導入することの危険性だ。PDCAだけではない。プラットフォーム戦略、オープンイノベーション、リーンスタートアップ、デザイン思考、リモートワーク、目標管理(MBO)、ネットワーク組織など、米国の経営理論を表面的に理解し導入……、矢継ぎ早に繰り返される部門異動や組織の見直しにもかかわらず、日本の企業は失敗を重ねている。

仕事で失敗 OODAループにも飛びつくことは火を見るよりも明らかだが、「その多くは失敗に終わるだろう」と、入江氏は語る。

「経営コンサルタントの私は、改革後の荒廃した現場をこれまで何百と見てきました。なぜ日本企業は同じような失敗を繰り返すのかといえば、そこには、米国の企業が持っている共通の前提である戦略理論がないからです。

 この戦略理論OODAループとは、企業のなかで統一された『Vision=夢のビジョン』を持ち、この『夢のビジョン』にすべてヒモ付けられた行動を行うことで、改革を実現するのです。注意していただきたいのは、『夢のビジョン』は日本の企業が掲げているビジョンとは違います。日本の企業が掲げているビジョンは経営陣の自己満足にすぎません」

次のページ 
「OODA」には「コレ」がないと駄目!

1
2
4
5
関連記事
6
7