チュラロンコーン大学図書館の中は日本のそれと大きな違いはない
タイでは何かを調べようとするのもなかなか難しい。
例えば、タイにも統計局が存在し、数字的なデータ各種は同局のウェブサイトから検索できる。しかし、これも容易ではない。日本の感覚であらゆる統計が揃っているつもりで探すものの、タイは必ずしもすべての事象をデータ化しているわけではない。そして、データ化されていたとしても、明らかに数字の打ち間違い、年度が抜けているといったことも少なくない。そもそも統計が発表されるまでに数年を要することもある。入国管理当局の入国者統計と、政府観光庁の統計数値が違うなど、どこに最新かつ正確な情報があるのかわからない。
となると、できるだけ根拠のある情報をみつけたければ図書館に足を運ぶしかない。
ところが、この図書館もまた、国立図書館や大学が運営する図書館ですらデジタルとアナログの管理に関してまったく連携が取れていないのだ。
タイの図書館も日本同様蔵書をネットで検索できる。書名がわからなくてもキーワードで検索できるので便利ではある。しかし、ここでジレンマが発生する。統計局の例でも挙げたように、タイは正確な情報をみつけることが困難なのだ。なにしろ、サイト上には存在が明確に書かれていても、本そのものがないこともある。その逆もまたしかりなのである。
結局、調べたい書籍があるかないかはネットではなく、直接電話で確認することもできる。しかし、今度はほとんどの図書館がそもそも電話に出てくれないという問題がある。たまに繋がるが、こちらが用件を言い終わらないうちに「ない」と言われたり、堂々と「わからないからとりあえず来て」と言われることもしばしばだ。日本の「学芸員」のようなしっかりとした職員もいるにはいるが、必ずしも蔵書すべてに精通しているわけではないので、最適なのは結局図書館に足を運ぶことになる。
ちょうど調べるものがあったので、バンコク西部、チャオプラヤ河沿いにあるタイ国立図書館に向かった。
ガイドブックなどではなかなか語られることがない、「タイの国立図書館」体験記を御覧いただきたい。
国立図書館はバンコク中心部からは離れた河沿いにある。そのため、あの管理体制では湿気による紙の劣化なども心配だ