ちなみに、「秋の乗り放題パス」に限らず、全国各地で日常的に使えるフリーきっぷは発売されている。こうしたものをうまく使えば、有効期限のある「秋の乗り放題パス」以外でも、旅行を楽しむことができるだろう。前出のライターは「フリーきっぷの販売がないエリアは、主に中国地方。姫路から広島まで在来線の山陽本線で片道約4時間半、4430円です。さらに中国山地内を走る姫新線や津山線、因美線などのローカル線の旅をするのもいい」とアドバイス。中国地方は7月の西日本豪雨で大きな被害を受けた地域でもある。“観光で応援”という気持ちで訪れてみるのもよさそうだ。
最後に、こうした鉄道の旅を楽しむうえでの“裏技”も教えてもらった。
「鉄道の旅のポイントはいくつかあるのですが、ひとつはフリーきっぷにとらわれないこと。特に学生の貧乏旅行でもないならば、疲れたら躊躇なく特急や新幹線を使うといいでしょう。余計にお金がかかり、結果フリーきっぷの元が取れなくても、満足度が高ければ大丈夫。また、長時間普通列車に乗るなら是が非でも座りたいところ。そこで、“始発駅から乗る”ことを徹底するようおすすめします。例えば東京から東海道線に乗って大阪方面に向かうときに、静岡県内では島田行という列車が走っています。しかし、島田駅で乗り継ぐ列車は実は遙か手前の興津駅が始発駅なので、島田駅接続では座れないことがある。こうした落とし穴を避けるためには、少しでいいので時刻表を眺めて、始発駅から乗ることを徹底しましょう」
快適に座ってのんびり普通列車の旅……。これからの季節は紅葉もはじまり、車窓を眺めるだけでも充分満足できるだろう。自分でクルマを運転するよりもずっと楽なはず。「秋の乗り放題パス」をうまく活用して、秋の行楽シーズンを楽しんでみてはいかだろうか。
<取材・文/HBO編集部>