いよいよ開通!香港初「高速鉄道」乗車記――手放しで喜べない事情とは?

高速化で「大陸化」も進む?

 高鉄のうち今回開通した区間の最高速度は時速200km。中国国内の広深高速鉄路区間の最高速度は時速300kmだ。西九龍駅から40km離れた深圳北駅までは最速17分、142km離れた広州南駅までも最速46分で到着する。西九龍から北京(北京西駅)、上海(上海虹橋駅)までの直通列車も出ているが、いずれも2000km以上(東海道・山陽新幹線の約2倍)の距離を走破する列車でありながら8時間台、日本円で18000円前後で到達することができる。  2007年の開通当初はトラブル続きであった中国高速鉄路であるが、現在は以前よりも比較的安定した運行がおこなわれている。高鉄は香港という土地柄、天候の影響を受けやすい航空便よりも運休が少なく定時運行性に優れていることから、観光に、ビジネスにと、これまで以上に中港両岸に大きな人の流れを生み出すこととなろう。現在、北京、上海への直通列車は1日1往復のみであるものの、今後は大きく本数が増えるかも知れない。  決して「良いこと」づくめではないものの、香港に「交通革命」を起こすことになる高速鉄道。開通により香港と中国本土の結びつきがより一層強まっていくことは間違いないが、果たして10年後、20年後の香港はどう姿を変えているのであろうか――そうした思いをめぐらしているうちに、列車は約20分で深圳北駅へと到着した。日本円にして僅か1200円の「国際列車旅」であった。
香港西九龍駅の出札口

多くの人で賑わう香港西九龍駅の出札口。高速鉄道は中港両岸の人の流れを大きく変えるものとなろう

<取材・撮影・文/ウラカシ、若杉優貴(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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