佐喜真候補を応援する沖縄県建設業界の総決起大会。約1200人の建設業者が参加した
「沖縄県知事選」(9月30日投開票)は事実上、翁長雄志知事の遺志を引継ぐと訴える「オール沖縄」支援の玉城デニー候補(前衆院議員)と、県民所得アップを訴える自公維希推薦の佐喜真淳候補(前宜野湾市長)との一騎打ちとなっている。両者の選挙戦は対照的だ。
「翁長知事の後継指名を受けて新基地建設阻止を引き継ぐ」と強調する玉城氏は、潤沢な沖縄振興予算と引き換えに基地容認を強いる“アメとムチ政策”からの脱却を掲げる。
玉城氏は、母が生まれた沖縄の新基地反対の民意を安倍政権に伝えつつ、父の母国であるアメリカ政府とも再交渉する意向を表明。日米の橋渡し役として辺野古新基地撤回と普天間基地運用停止を両立する代替案を模索すると同時に、新財源「観光・環境協力税」の創設などで沖縄の経済自立も目指そうとしている。
これに対して「対立から対話へ」がキャッチフレーズの佐喜真氏は、「辺野古」にはまったく触れず、中央(安倍政権)との太いパイプで「全国最下位の県民平均所得をアップさせよう」と訴えている。
建設業界総決起大会で参加者たちの前にぶら下げられた“アメ玉”
決起集会の参加者には、「内部資料」として「期日前投票のお願い!!」と銘打った要請文と、氏名や居住地を表に書き込む形式の「期日前実績調査表(個人報告用)」が渡された
告示翌日の9月14日(金)14時から那覇市内のホテルで開かれた建設業界の総決起大会には、勤務時間中にもかかわらず建設業者約1200人が参加した。今年6月の新潟県知事選でも出回った「期日前投票調査表」(従業員・家族・友人・知人に期日前投票を依頼して調査表に氏名と地域を記入してファックスで送付)を会場入口で受け取った参加者たちに対し、ステージに登壇した太田昭宏・前国交大臣をはじめ自公維の国会議員が次々と挨拶をしていく。
「大米建設」創業者の息子で、同社代表取締役会長の下地米蔵・建設業協会会長の弟である下地幹郎衆院議員が「この選挙は日本にとっても沖縄にとっても大切な選挙ですので、仕事を止めて選挙運動しましょう」と業者に“無償労働”の要請を行った。
他の国会議員も、佐喜真知事の誕生で「翁長知事時代にはなかった、数々の恩恵を受けられる」ということを訴えていった。その“アメ玉”の中身とは、一括交付金と公共事業予算増、建設単価(人件費)アップだという。
下地氏の次に挨拶した建設業界職域代表の佐藤信秋参院議員は、労務単価(人件費)引上げが実現するかは「知事しだい」と、二度にわたって強調した。
「(沖縄の労務単価は、全国平均より)ちょっと高い。1万9000円です。全国平均は1万8000円です。これを2万5000円、3万円に持っていかないといけない。ここがいちばん大事なところなのです。これをやるのは、どうするのか。知事しだいなのですね、本当に。知事しだいです」