朝鮮半島緊張緩和が進む中、日本の防衛政策はどこに向かうべきか?

必要なのは冷笑ではなく、平和の配当を得る努力

 イージス・アショア日本配備について、実は北朝鮮をダシに、対中国として配備するのだと言うホビー軍事アナリストの意見も見かけます。とんだ見当違いです。中国は5大核保有国(P5)です。P5相手に弾道弾戦争をするなど、まったくの自殺行為です。また、P5同士である米中間で正面戦争が起こる可能性などありません。小競り合いは起きるでしょうが、基本的に戦争を出来ない関係です。そもそも、米中関係は、米ソ関係とまったく異なり、不可分なほどに密接な経済関係にあります。  日中間でも緊張や小競り合いは起こるでしょうが、それを正面戦争にしないことが外交です。近年、日本はまともな日中、日朝、日韓外交をしてきたでしょうか? 答えは「否」でしょう。  軍備に偏重した対外関係は、為政者が頭を使わないで良い為に飛びつきやすいのですが、軍事の本質は外交の一貫です。外交あっての軍備であり、外交努力を放棄した軍備拡張は、ハードウェアに依拠した戦略であって、砂上の楼閣に過ぎません。  半島デタントを冷笑し、他国防衛の高額兵器を国内配備するような愚行でなく、平和の配当を得る為の努力が求められると私は考えます。  ミサイル防衛とイージス・アショアの配備についての7回に渡る連載はこれで終わりです。  コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」、また別のテーマでお会いできると幸いです。 『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』第7回 ※読者の皆様から頂いた質問にコロラド博士が答えるFAQが牧田氏のFBに開設されました。 <文/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado photo/USMDA via flickr(CC BY 2.0)> まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガを近日配信開始予定
Twitter ID:@BB45_Colorado まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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