各戸にディスポーザーを設置し、粉砕して直接下水に流す
下水道への紙オムツ受け入れ方法(国交省資料より)
具体的にはどんな方法で紙オムツを下水に流すのか。国交省の資料によると、家庭での紙オムツの排出の場合はトイレなどに紙オムツを粉砕するディスポーザーを設置、直接紙オムツを投入する。
また、各家庭にディスポーザーの設置が無理な場合は、地域内に共同ディスポーザーを設置して受け入れる方法を考えている。保育園や介護施設等、大量の紙オムツが排出されるところでは、どのような回収方法が可能なのだろうか。
下水にオムツを流す検討を進めている国交省の「下水道への紙オムツ受け入れ実現に向けた検討会」は今年3月に開催された第2回検討会で、3つの処理方式についての考えをまとめた。その処理方式とは、
A固形物分離タイプ ①紙オムツから汚物を分離 ②紙オムツはごみとして回収
B破砕・回収タイプ ①紙オムツを破砕 ②建物外の分離・回収装置で固形物を回収
C破砕・受入タイプ 紙オムツは破砕し、そのまま下水に流す
というものだ。
「Aは2018年までに検討、Bは2020年、Cは2021年まで検討し、2022年にガイドラインを作成・公表し、地方自治体が受け入れを検討する」との方針だという。
政府が求める、下水分野での「ビジネスチャンス」。環境問題への配慮は?
国交省は2005年、人口も減りこれまでと違って地球環境も厳しくなる今後100年を見通して「水ビジョン2100」を策定した。その中で、「老朽化した設備・施設の改修などを、下水道事業の収益だけではやっていくことは難しい」として「PPP(官民連携)」「PFI(公共施設等の建設、維持管理、運営等に民間を活用して行う手法)」を政策の柱の一つにあげている。
そこで、官民連携の推進のための重要項目としてあげているのが「企業が安心して参入できるように、リスク分担や地方自治体の関与のあり方を整理する」という方針だ。
こうした施策にお墨つきを与えているのが、2017年6月9日に政府が閣議決定した「未来投資戦略2017」。この中で下水分野の目的達成は「民間企業に大きな市場と国際競争力強化のチャンスをもたらす」とされていて、企業にとってビジネスチャンスをもたらすものであることを求めている。
各戸に紙オムツ用ディスポーザーを設置する、下水管が詰まらないようにするなどの新たな工事は、企業にとって確かにビジネスチャンスとなるだろう。しかし、公共事業である下水道事業でのPFIは単なる企業のビジネスチャンスであってはならないし、環境問題への配慮も忘れてならないはずだ。