サークルKサンクスが残した「美味しい大きな置き土産」
サークルKサンクスにおいてもam/pmやココストア、エブリワンと同様に、その独自商品やサービスなどの多くは2017年6月までに行われた商品・物流の統合化までに姿を消してしまった。
同社の特長といえばコンビニでありながら他社よりも安い商品を販売しているという「価格訴求性の高さ」であり、その代表格といえるのがグループの総合スーパー「ユニー」のプライベートブランド(PB)商品「スタイルワン」の存在だった。
スタイルワンは、コンビニ業界最大手「セブンイレブン」のPB商品「セブンプレミアム」と同様、系列スーパーとコンビニで「同一価格」だったことから競合他社(ローソン・ファミマなど)のPB商品に比べて安価であり、人気が高かった。また、レジ付近に設けられていた店内調理惣菜コーナー「ごちそうデリカ」も「コロッケ3個105円」「若鶏のもも唐揚げ5個210円」など、スーパーと同様の陳列スタイルや価格設定がなされており、時間帯によっては「値引き販売」が行われることも特長だった。
しかし、ファミマとの統合後は「スタイルワン」や格安惣菜の販売はいずれも終了。サークルKサンクスは大手3社への対抗策として2014年に生鮮食品や惣菜を更に強化した「サークルKフレッシュ with ピアゴ」の展開を開始するなど、「スーパーマーケット傘下」であることを活かし「コンビニとミニスーパーの融合」によって生き残りを目指したこともあったが、ファミリーマートのブランド力があればこうした価格訴求性は「必要がない」と判断されたのであろう。
このほか、「おそ松さんブーム」で販売が好調であった先述の「チビ太のおでん」や、人気の独自スイーツブランド「シェリエドルチェ」も「濃厚焼きチーズタルト」「窯出しとろけるプリン」など一部商品を除いて消滅。コンビニ業界では異色だった模型大手「京商」が手掛ける「1/64ミニカーコレクション」も2017年をもって販売を終了してしまった。
店頭のマルチメディア端末「Kステーション」(旧・カルワザステーション)やポイントカードシステム「Rポイントカード」(旧・楽天ポイントカード)に関しても、ファミマの「Famiポート」「Tポイント」に統一されている。
かつてサークルKサンクスだったファミマ店舗(町田市)
その一方で、サークルKサンクスはファミリーマートに、僅かではありながら「大きな存在の置き土産」を残した。それが「焼き鳥」である。
2016年9月のファミマとの経営統合直後は、ファミマに転換した店舗からサークルKサンクスの独自商品が一掃されたことで利用客から不満の声も上がっていた。しかし、2017年6月になると一転して「ファミ横商店街」と題してファミマとサークルKサンクスほぼ全店舗での焼き鳥の販売開始を発表。効率化や品質向上を目的に調理方法が一部変更されたもの、サークルKサンクス時代の焼き鳥とほぼ同等の商品が提供されており、順調に販売本数も増加。2018年8月には元SMAPの香取慎吾氏を起用した大規模な販売促進キャンペーンを打ち出すなど、ファミマの新たな看板商品へと成長しつつある。
ファミリーマートで販売される「焼き鳥」。かつてサークルKサンクスの人気商品だった
また、サークルKサンクスが販売していた「ばくだんおむすび」も、取り扱い店舗をファミマ店舗に拡大して販売継続された商品だ。これはココストアやエブリワンで販売されていた類似商品「ばくだんおにぎり」がファミマに引き継がれた店舗で終売となったことと対照的であったものの、「ばくだんおにぎり」に慣れ親しんだ客にとってみても朗報となった。さらに、今年からは新たにサークルKサンクス独自だった手巻き寿司「かじりっ子」についても販売が再開されている。
ユニーファミマHDによると、こうした「焼き鳥」など中食部門の商品は、ファミマ全店の売上に対しても大きく貢献しているという。
焼き鳥は今やファミマの「看板商品」だ(別府市)