勘違い恋愛おじさんを秒速で鎮静化させるには、ファンサービスと同じ戦略を取る<現役愛人が説く経済学49>

勘違いした恋愛感情を向けてくる顧客は、ファンサービスにはつきもの。それは愛人業も同じ。それでは、どう対応すれば良いのか

 こんにちは、東條才子です。どこにでもいるアラサーOLですが、富裕層を対象に愛人ビジネスを展開しております。前回は「勘違い恋愛おじさんを宥めるには『コールセンター方式』が役に立つ」として、顧客の不満を丁寧に聞き取ることが満足度をアップさせるコツである旨をお話いたしました。  私の主要顧客である50代の医師は、クレームを言い始めた当初、「ここ2ヶ月ほど会えていないこと」に不満を爆発させておりました。 「出会ったばかりの頃は、毎週デートしていたのに、最近はほとんど会えないよね。でも東條さんのインスタグラムを見ると、会社の同僚と女子会をしたり、接待で食事に出かけたりしている。僕だって東條さんと2人きりの時間を過ごしたいのに!」  ずっと、このような調子で喋り続けておられます。  彼は私のインスタグラムをフォローし、欠かさずチェックしているんですね。こういう中年男性はかなり多いようです。大したネットリテラシーもないのに、流行のSNSを見れば相手のすべてが分かると思っている。  話が少しそれましたが、私は昼の仕事や女友達との付き合いを大切にしたいので、愛人を最優先にすることはありません。そこで、仕事の合間にお茶したり、ドライブしたりするようなデートを提案してきたのですが、彼はここ数ヶ月、「24時間、僕に時間をくれるならデートしたいけど、細切れの時間に会うのは嫌だ」と言って聞かなかったのです。結果的に会えない日が続き、ついに不満が爆発したのでしょう。自業自得といえば、それまでです。  ところが彼の話を聞いていると、徐々に真相の本音が出てきました。思うようなデートができないことが不満なのではなく、本当のニーズはもっと深いところにあったのです。 「僕は、愛する君と『本当に付き合っている実感』が欲しいだけなんだ。それだけなんだよ」  これです。「~~だけなんだ」と、非常に強い言葉を使っていることから明らかなように、「付き合っている実感がほしい」という欲求こそ彼の深層ニーズだったのです。  私は基本的に、愛人男性と「付き合っている(=彼氏、彼女)」関係を築くようにしております。ただ彼にとっては、今ひとつその実感が得られないことが、会えないことよりも大きな不安だったのですね。
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重い悩みをカミングアウトして演出する「恋人感」
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