鈴廣風祭店の屋根に設置された太陽光パネル
「バックキャスト」で地域のために貢献する鈴廣の施策の一つが、地域でのエネルギー自給。鈴木副社長は会社とは別に、全国の中小企業の経営者が集まって設立した一般社団法人「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」の代表理事も務める。太陽光発電などを行って地域の再生可能エネルギー自給体制を実現、持続可能な地域経済・地域社会の確立を目指す集まりだ。
鈴木副社長:戦後の焼け野原からの復興期には「効率」が求められました。そのおかげで、今の豊かな生活のベースがもたらされました。しかし同時に、地域の個性が失われていったのも事実です。高度経済成長期には東京をモデルとしたまちづくりが進められました。
考えてみれば、人が生きていくうえでどうしても必要なものは、食べ物、水、エネルギーです。東京にはどれもないことに気がつきます。必要なものは外から買ってこなければなりません。
それぞれの地域が、日本の原点です。地域の歴史・風土や文化、自然環境、そして人と人の顔の見える関係こそが本当の価値なのです。
その地域経済を回していく有効な手段となるのが、エネルギーの地産地消です。「地方創生」というと、どうしても「観光客や移住者を増やそう」などと考えがちですが、その結果として「他の地域と奪い合いになる」という一面は否定できません。
その点、エネルギーは競争になりませんし、どの地域にもあります。太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマスなど、それぞれの地域に自然が与えてくれたエネルギーが存在します。
いま、エネルギーを外から購入するために、地域単位で年数百億円のお金を使っています。このお金がどこに流れていくのかというと、中東の国々です。そのお金の1割でもエネルギーの地産地消によって自分たちの地域に還元できたら、地域の課題解決にお金を使うことができるのです。
「地球に優しい」なんて、おこがましいことは思いません。私たちは地球に住まわせてもらっているのです。そのなかで、子供たちが「ずっとここに住みたい」と思うような、大人になってから「ただいま!」と戻ってきたくなるような、「なつかしい地域づくり」をしていきたいと考えています。