素材にこだわる鈴廣のかまぼこは、保存料・化学調味料を一切使わずにつくられている
鈴廣は自社で「魚肉たんぱく研究所」という研究施設をもち、海の状態や魚肉の質、魚肉製品の作り方などを研究している。もともとは魚肉・水・塩というシンプルな材料で作られてきたかまぼこだが、現代では化学調味料や保存料などの添加物が入ることも多くなってきている。しかし、鈴廣のかまぼこは、長年の職人の智慧と研究結果をもとに、無添加でつくり続けられている。
鈴木副社長:化学調味料や保存料を使うのは「簡単に旨味を出したい」「できるだけ長く売りたい」という、企業の側の都合を優先すること。企業とはお客様の側に立ち、世の中のために役に立って行くことでその存続が許されるのだと思います。
老舗と言われる企業として、伝統的なものの良い部分は「続けていく」ことが大事だと思っています。自分たちの仕事は駅伝のようなもの。自分の代だけ格好よく走っていても、最後に転んでしまっては意味がないのです。会社を大きくすることよりも、少しでも良い企業にして次へ繋ぐことが最優先です。5年、10年、30年……ずっと先を、絶えず意識しています。
いまの時代、過去の実績にもとづいて予測し、未来の目標に近づけようとする「フォアキャスト」な企業が多いですよね。でも私たちは未来に目標設定を置き、そこからいま何をすべきかを考える「バックキャスト」でいきたいと思っています。
食品をつくる私たちは、未来をつくる子供たちが成長していくにあたって、大きな責任を負っています。そのためには、効率よりも安心・安全を第一に考えていかなければならない。
そうやって先を考えていくと、自分や家族、自社だけが良ければ良いということにはなりません。ものの実相は繋がっていて、自分のしたことは、いつか自分に返ってくると思っています。自分たちが商売で成功するだけではなく、まわりも良くする企業でなければ長く続けることはできない。そのためにも、まずは地元の小田原がキラッと輝く場所であるために、少しでもお役に立ちたいと思います。