持ち家にしろ、賃貸にしろ、なぜいつも遮音性や断熱性が問題になるのだろうか?理由はつくり手(事業者)と、買い手や借り手(消費者)の認識が決定的に不足してきたことだ。省エネ住宅の普及を手がける一般社団法人ZEH推進協議会の運営委員を務める高橋彰さんは言う。
「事業者側は、断熱性能の高い住宅をつくっても消費者側の理解が低く、コストアップ分を回収できないと考え、低い性能の住宅を供給しつづけています。消費者側が高断熱住宅のメリットを理解し、家の性能を重視する賢い消費者になることで事業者側にプレッシャーをかけていかないと、日本の住宅の性能は変わらないと思います」
では、具体的に何を基準にして住まいを選べばよいのだろうか? 持ち家、賃貸それぞれのポイントを挙げてみたい。戸建て、マンションを問わず、これから新居を購入する際は、大前提として「高気密高断熱」の住宅を選びたい。ただ、広告や営業マンの言葉をそのまま信じてはいけない。
特に、ローコストで「高気密高断熱」をうたっているハウスメーカーや工務店の家は危ない。高性能の家はそれなりに初期投資がかかるので、安すぎる家は性能が低いと考えた方がいいだろう。まずは断熱性能や気密性能を示す基本的な数字を確認して、レベルの低いものをつかまされないようにしたい。
マンションの場合は、一般的には日当たりの良い角部屋が人気だが、暑さ寒さを考慮すれば実は角部屋の条件は良くない。また、最上階は真夏に暑くなる部屋も多いので、避けたいところだ。お薦めは、上下左右が他の部屋で囲まれている物件だ。
ペアガラスの樹脂サッシ
周りの部屋が断熱材代わりになるので、夏も冬も快適性がアップする。もちろん、防音性能もチェックしておこう。また、新築マンションの窓はすでにペアガラスが標準仕様になっているが、さらにサッシがアルミではなく樹脂になっている物件があれば優先しよう。快適になる上に光熱費が大きく抑えられるからだ。
人生で最も高い買い物である住宅は、何度も買い換えることができない。それだけに、失敗してもその教訓を活かせる機会がほとんどない。だからこそ、住まいを選ぶ際には住んでから違いがわかる性能を重視して、慎重に選びたいところだ。