沖縄県知事選の前哨戦、「名護市議選」が決める沖縄の将来


 9月30日に投開票が行われることになった沖縄県知事選は、辺野古基地の建設を止めたい「オール沖縄」にとっても、辺野古基地の建設を進めたい自民・公明党にとっても「絶対に負けられない戦い」です。サッカーの試合だったら、負けたところで監督が悪口を言われて終わりますが、「選挙」というのは人々の暮らしに直接的な影響を及ぼすので、時には人が生きていけなくなります。

 もし、シングルマザーでギリギリの生活をしている人たちに「消費税10%」が導入されたらどうなるか。その先、もっと消費税を上げるべきだという声もあるので「消費税 20%」になったらどうなってしまうのか。「選挙」というのは、そういうことを大きく左右するものなのです。

 今回の沖縄県知事選は、普天間基地をそのままに、名護市周辺で暮らす人たちの頭の上をオスプレイや戦闘機が飛び交い、沖縄の東海岸に軍艦が並ぶ光景を作り出すかどうかを問う選挙になっています。と言っても、ぶっちゃけた話、東京で暮らしている私たちの生活には何の変化もありません。沖縄なんて人生で何度か旅行で行くか行かないかぐらいなもので、辺野古基地ができてオスプレイが頻繁に飛び交うようになったところで、美ら海水族館に行く時にオスプレイがやたら低く飛んでうるさいこと、美しい夕日を見ながら海岸でキスしようと思った時に水平線の手前に軍艦が並んでいるぐらいしか影響がありません。

 オスプレイはこれまでに何度も墜落事故を起こしており、民家のすぐ近くに落ちたこともありますが、どうせ死ぬのは僕じゃありません。最悪、かわいこちゃんや子どもが死んじゃうことがあるかもしれませんが、その時はその時で運が悪かったということで。だから多くの皆さんが選挙に興味を持たないわけですが、沖縄に家族や恋人が住んでいる人もいるかもしれません。少しでも興味を持ってくださった方のために、このたびの沖縄の選挙の現状を伝えたいと思います。

9月9日の名護市議選が持つ意味

 サッカーの試合には「この試合で勝てば次の試合で負けても決勝トーナメント進出」みたいな話がありますが、実は、「選挙」という「絶対に負けられない戦い」にも同じような話があります。

 多くの人が9月30日の沖縄県知事選ですべてが決まるように思っているかもしれませんが、本当の戦いは9月9日の名護市議選にあります。名護市では今年2月に市長選が行われ、辺野古基地反対派だった現職の稲嶺進さんが敗れ、辺野古基地推進派の渡具知武豊さんが市長になりました。しかし、名護市議会はまだ「基地反対派」が多数を占めているため、基地建設を進めようとしている渡具知武豊さんの提案は議会で否決される構図になっています。

 せっかくの提案を否決されるのはムカつくので、渡具知武豊さんもまた、議会が提案してきたことに市長が持つ「否決権」を行使して対抗する泥沼を展開しているのですが、こんなことではなかなか辺野古基地の建設が進まないので、9月9日の名護市議選では基地賛成派が過半数を占められるように、まさに今、積極的にアピールしているところです。それまでの名護市は市長も議会も「辺野古基地新設には反対」というスタンスだったため、実は、現場レベルでかなりの項目がストップしていましたが、もし名護市議選で議会の過半数が「基地推進派」に変われば、市長も議会も「基地賛成」になりますので、現場レベルでどんどん建設工事が進むことになります。

 この日も辺野古の基地建設予定地の前では大規模な抗議活動が行われていましたが、基地推進派が議会で過半数を占めれば、当然のことながら、こうした人々の声も虚しく、あっさりと基地の建設は進められることになります。どれだけ大きな声で抗議をしても、どれだけ大きな横断幕を掲げても、どれだけ泣きながら訴えても、みんなが選挙で基地建設推進派の候補に投票してしまえば工事は進む。ここに集まっている皆さんでさえ忘れがちな話なのですが、すべては「選挙」で決まるのです。TPPにしろ、カジノにしろ、高度プロフェッショナル制度にしろ、自民党や公明党がやりたい放題を極めているのは「選挙に勝ったから」なのです。

 日頃から自民党や公明党を応援している皆さんは、どこかで何かを訴えるのではなく、そんな暇があったら選挙活動をしているわけです。公明党をご覧ください。熱心な創価学会の信者の皆さんが、今日も誰かに「あの人をよろしく!」と電話をかけているのです。時には知り合いのお店を訪れ、商品を買いながら「9月9日はよろしく!」と言っているのです。基地の前で抗議することが無駄だと言いたいわけではありません。基地の前で抗議することもそれはそれで民主主義の上では大切なことなのですが、もう少し「選挙」のことを考えないと、皆さんの声は届かないのです。

 辺野古基地の建設を進めようと思ったら、9月30日の沖縄県知事選に勝てなかったとしても、9月9日の名護市議選で過半数を取ってしまえば、現場レベルで工事は進み、建設現場の前で抗議している人たちを排除することができるようになります。逆に、辺野古基地の建設を止めようと思ったら、9月9日の名護市議選で基地反対派が過半数を取った上で、9月30日の沖縄県知事選で勝つ必要があります。もう既に市長は辺野古基地賛成派になっているので、1つでも落とせば基地の建設は進みます。サッカーだったら、さぞかし緊張感のある試合になっていることでしょう。

次のページ 
土砂投入延期が意味するもの

1
2
3
4
4
5
関連記事
6
7