「国会が終わったからって知らんぷりさせない」 上西充子法政大教授が語る、「国会可視化」の意味
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』を刊行した。
同書の中で、解説をお願いしたのは、当サイトでもおなじみの田中信一郎先生と、裁量労働制の労働時間をめぐる安倍首相の不適切な答弁の指摘で注目を集め、その後も高度プロフェッショナル制度に関する的確な批判を行っていた法政大学の上西充子先生だ。
大学の教授職としてのさまざまな業務に加え、「国会パブリックビューイング」代表として、国会中継をストリートで流しながら解説をするという活動を行い、多忙を極めている上西先生は、なぜその多忙な日々を縫って『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説に協力してくれたのだろうか。
――先生、お疲れ様でした。
上西充子氏(以下、上西):お疲れ様でした。変な陰謀論も出ているので、一度私も「どんな進行でできたのか」をちゃんと可視化したほうがいいと思っていたんです。今日のインタビューはその目的もあって。
――「国会パブリックビューイング」にも繋がる「可視化」の発想ですね。
上西:はい。実際、私が横川圭希さん(※当サイトにも寄稿したことがある映像ディレクター)からお話を聞いたのが7月21日の土曜日で、実際に担当編集のあなたとお会いしたのが7月23日の月曜日でしたよね。
――はい。田中先生にオファーしたのも21日土曜日で。ただ、実はもう演説当日の20日金曜日の段階から田中先生と上西先生に頼もうというのは自分の中では決まってました。金曜日に扶桑社内で企画が通り、GOが出た段階で、立憲民主党さんのほうには、いくら議員の演説で著作権法40条が云々といっても仁義を通さねばということで企画書をお送りしたんですが、両先生にオファーする前でしたが「田中先生と上西先生に解説をお願いする(予定)」と書いていましたから、ご快諾いただけてよかったです(笑)
上西:国会パブリックビューイングで横川圭希さんと一緒に活動しているんですが、実は、あの演説が盛り上がってた20日の時点で、彼に「あの演説、国会パブリックビューイングで書籍化できないかなあ」みたいな話をTwitterのDMでしているんですよ。そこで横川さんがどっか当たってみますみたいな話をしていて。で、そうこうしているうちに、何も返事が来ないで、「どこか出版社ないか」ってツイートしていた菅野完さんが「決まりました」って書いていたのを見て、「ああ、もうこれ逃したな」と思っていたんですよ。
――かなり奇跡的なめぐり合わせですよね。実は上西先生のことは、うちのサイトも佐々木亮先生に取材して裁量労働制や高プロについての記事(※「労基法改正案の新制度は『定額¥働かせ放題』である」、「強行採決されそうな『高度プロフェッショナル制度』は、一億総ブラック企業従業員にする欠陥制度」)をやってたりするんですが、そういう労働問題関連のことを調べる中で、ずっとツイートを拝見してて、いつか原稿をお願いしたいなと思っていたんですよ。
でも、当時から国会で公述人意見陳述に立たれたり、お忙しそうだし、何もツテもない「ハーバービジネスオンライン」とかいうマイナーなサイトがお願いしても難しいかなと思って躊躇していたんです。だから、もし普通にメールで解説をお願いしても、横川さんを介していなかったら話はここまで早く進まなかった可能性もある。
上西:接点ないですもんね。
――こちらから頼んだ話ではあるものの、スケジュールもめちゃくちゃですからね。21日土曜に横川さんを通じて仮決定で、正式にご挨拶したのが23日月曜日。24日火曜日と25日水曜日で演説の文字起こし見て脚注の候補をピックアップして頂き、ご専門のところは脚注も含めて解説を書いて頂くという……。今までお付き合いがあった田中先生にさえ、「よく言えたな」というスケジュールですから。
上西:私は25日水曜日締切の原稿2本とかありましたからね(笑)。学部の授業の成績もまだ付けてないとかそういう状態でしたから(笑)。横川さんから話を聞いたときには、即答とはいかず、手帳をにらんで1時間ほど考えてからお返事しました。
――そういう時期であろうことは重々承知の上で、上西先生にも田中先生にも頼み込んで。お受けいただいて、本当に良かったです。僕らとしてもいずれネットで公開される議事録に収録されるものを、ただ紙に印刷しただけで出すってのはどうなんだと思っていたんで、脚注でいろいろ補足したり、この演説の何がすごいのかをきちんとした解説を入れることが頭にありましたので。
上西:私は24日に脚注を入れたほうがいいかもという候補と私が書く部分の脚注を順次送っていたでしょ? 田中先生もそんな感じだったんですか?
――田中先生は解説が先でした。でも解説を24日20時くらいに頂いて、その後2時間くらいで脚注も頂けました。なんかお忙しい中、「なんとか24日を空けてその日に全部やります」と仰ってくれていたので。
上西:私のほうは24日に脚注を入れたあと、25日の10時に解説を入れたんですね。でもその後、14時に差し替えのお願いとかしたから大変だったでしょ(笑)。
――DTP担当は元同僚で、現在フリーでやっている人間にお願いしたんで、多少は融通が効く関係ではあるんですが、それでも急に頼んだこともあって、あまり負担をかけたくなかったんで、原稿も揃って確認したそばからどんどん渡していたんで、「あ、差し替わった」ってのは私より彼が大変だったかもしれません(笑)。
上西:私や田中先生がピックアップしたり書いたりした脚注以外はいつやったんですか?
――田中先生と上西先生の脚注が揃った24日から始めて一気にやってました。なので、上西先生の原稿が届いたあとに、「もくじ」やら「まえがき」やらを揃えて、25日の夜にはDTP担当に回して、あとは何回か直しのやり取りをして、最終的に「26日朝までに」と言われていたので、なんとか4時くらいまでに全部揃えて入れられました。
枝野幸男氏が7月20日の国会で行った内閣不信任決議案の趣旨弁明は、SNSなどで出版化を望む声が多数出たことを受け、本サイト編集部が緊急出版として『
原稿の締切が迫る中でも引き受けたかった
『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』 不信任案決議の趣旨説明演説をおこなったのが、衆院で野党第一党を占める立憲民主党の代表・枝野幸男議員である。この演説は、その正確さ、その鋭さ、そして格調の高さ、どれをとっても近年の憲政史にのこる名演説といってよいものだ。 |
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