「会社都合の転勤ではなく、自らの意思で田舎に移住する」という流れが今後ますます増えていく。すでに今でも、20~40代の働き盛りの移住が多く、中でも30代の子育て世代の移住が一番多い。国の世論調査でも、都会暮らしの20~40代の田舎暮らし願望は30~40%を超えてきている。
地方は地方で、若年層の都会への憧れは減少し、地元志向が増えている。実際に各地の人口過疎地において、ここ数年で人口増に転換したという例がどんどん出てきている。かつて田舎移住の主流だった60代の田舎暮らし願望は、働き世代よりも遥かに低く、20%前半と低い。
今までの働き世代の移住パターンは、会社を辞めるという例が主流だった。だが今後、会社を辞めずとも田舎移住が可能になる条件が増えていく。老舗大企業である日立製作所ですら、社員の過半の10万人をこの2~3年でテレワークに転換し、自宅や外出先で仕事ができる体制を整えると、先日発表したばかりだ。
もう、都会に人が集まる必要はない。都会は全てにおいて最先端だった。だがこれから少しずつ、様々な分野で田舎こそ最先端へとシフトしていく。
いつの間にやら“退職者量産バー”と呼ばれて地方移住の入り口になっていた、今はなきオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」。「田舎に移住したいけど大丈夫だろうか」と不安をぶつけてくる人も多かった。自主的に住みたいところに移住するわけで、不安があって当然だ。
自主的移住は、自分の責任で人生を決断する最初の大きな選択になる。過去に選び取った就職なんてしょせん、世の中が作り上げた“常識”に嫌々自分を当てはめただけ。360度無限に点在する田舎を自ら選ぶ一歩こそ、初めての自由意志による人生の一歩だ。
さて、自主的移住を考える面々が発する一番多い質問の類がこれだ。
「閉鎖的な田舎で人間関係がうまくいくだろうか!?」
「田舎ではいつも誰かに見張られていると聞くけど大丈夫だろうか!?」
できない理由を探して言い訳するのが人間の性(さが)。しかし俺は、「おっと待ってました!」とばかりに「移住できない言い訳」を意地悪く打ち消してあげるのだった。