まず基地反対運動というとネット上に駆け巡るのは過激なイメージだったりします。自分も沖縄に来る前は誤解していた部分なので、かなり根深いデマだと思います。
2年間で座り込みや県民集会の現場に300日以上は通ったと思いますが、そこにいるのはほぼ
8割、9割が沖縄県民、とくに定年後のおじいおばあ世代です。
そりゃそうです、平日の昼間に座り込めるのは圧倒的に定年後の世代ですよね。
沖縄戦を経験した世代の情熱はハンパじゃありません。4人に1人が戦死した地上戦を生き延びた人々であり、軍隊が住民を守らなかった事実を肌で知っている世代だからです。地上戦の最中、本来、防衛に来たはずの日本兵に赤ん坊を殺された、略奪された、強姦された、自決を強要されたという話は枚挙にいとまがありません。
農業をしながら、週に1、2回というペースで通う人もいたり、朝だけ参加する。夕方だけ参加するなど、皆、生活の中に組み込みながら続けているという感じです。休憩時間などは文字通り手弁当で、弁当を持ち寄り和気藹々と昼食をともにしたり、三線を弾いて歌ったりもします。
「もしもデマの通り日当がもらえるんなら、私ら大金持ちになるねえ」
あるおばあはデマを笑い飛ばしていました。
土日祝日は県内の家族連れや本土からの個人や団体、政党の関係者などが駆けつけます。基本的に沖縄県民を中心に行われている運動でありますが、日本政府が税金を使って強行している工事なので、日本に暮らす人々なら誰しも参加して当然であると言えます。責任は本土の側にあるのです。
また、ネット上では中国、韓国人が多い。などのデマもありますが、実は
座り込みの現場でもっとも見かけるのはアメリカ人だったりします。自分の国がこんなところにまで基地を作って申し訳ない。そういう気持ちのアメリカ人たちです。
VFP(ベテランズ・フォー・ピース)米退役軍人の会の元米兵たちの姿も頻繁に見かけます。
集う人の様々な想いを「辺野古新基地建設反対」のワンイシューにしぼって行われている運動なので、全基地撤去論=中国攻めてくる論で批判することは見当はずれと言っていいと思います。
非暴力の運動であり、荒い言動は運動内で注意されます。実際に僕も機動隊員の理不尽な言動に対し、汚い言葉で抗議した際に、後で先輩に呼び出され、「ああいうのは良くないよ、抗議はお互いの尊厳を守ってやりましょう」と注意されたことがあります。
もちろん機動隊による激しい暴力、拳で殴る、挑発する、肋骨を折る……などにさらされた後は、抗議運動も加熱しますが、その時の映像(しかもカルト宗教団体によって撮影された)だけを見て彼らを暴力集団などと呼ぶことは早計であると言えます。実際に地元名護署の警官も「座り込みの人々がテロリストなら、テロリストの概念が変わっちゃいますよね」と愚痴っていました。
ただ、時に数千人から数万人が集まる運動でもありますので、その中に例えば某中核派や某革マル派などの極左の人々が混じっていることはあります。
しかしパーセンテージでいうと全体の1%程度なので、その事実だけを切り取って広めることは印象操作だと言わざるを得ません。
そして、やはり大事なのは沖縄県民の民意が座り込みする側にある。ということです。「県民投票でも選挙でも結果を出してきた、それを無視して政府が工事を強行する、ならば座り込みをして少しでも工事を遅らせるしかない」という人たちなのです。国が民主主義のルールに沿って手続きを進めていれば、こんなことにはならなかったでしょう。誰も好き好んで座っている人はいません。